永琳「あなただれ?」薬売り「ただの……薬売りですよ」
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430:名無しNIPPER[saga]
2017/12/01(金) 00:14:56.44 ID:EID7KJ+P0


薬売り「でも……楽しんでいたんでしょう?」

てゐ「……まぁね」


 酔って、歌って、踊って、飲んで――――。
 あたしもその場の勢いに任せて、口汚い暴言を随分吐いたわ。
 小さな民だっつって内心見下した事を、酒に任せてぶちまけてやったりもした。

 それでも宴は終わらなかった……どころかさらに盛り上がって行ったわ。
 あたしの本音を皮切りに、みんなもみんな、普段思っていた事を言い合い始めたの。


てゐ「酔いに任せた本音と本音のぶつかり合い。ほんと喧嘩になるんじゃないかって、ヒヤヒヤしたもんよ」


 それくらい盛り上がってた。それくらみんな、我を忘れてた。
 ほんとこいつらいつ帰るんだってくらい、みんなで囲み合って、みんなで酔いしれていた……
 まるで――――”夢の中にいるかのように”。


てゐ「バカ丸出しで、普段はデカイ口聞く癖に、ちょっと何かあれば途端にビビリまくる、死んでも治らなさそうなレベルのアホ共……」


てゐ「でも――――そんな連中が、”あたしは大好きだった”」


薬売り「…………」


 そしてふと気づけば、時化の名残はすっかり消えていたわ。
 ま、長い事どんちゃんやってたからね……いつの間にか空は、曇りのない晴天に変わっていたの。

 で、空模様の変化に気づいたあたしは――――まぁ、お開きの合図だと思ったのよ。
 これほど明るいなら、ちょっと酔っぱらってても、まぁみんななんとか帰れるだろうって思ったわけ。


てゐ「今思うと……”あの時振り返らなければよかった”」

薬売り「…………?」


 一人、一匹、一頭、一群――――
 島の生き物は段々と姿を消していき、そして最後には、その場に誰もいなくなった。
 そうして、一晩限りの夢は終わった……
 小さな民は、まるで夢から覚めるように、またあの小さな日常へと帰っていった。



(――――あれ……誰もいない)



てゐ「ずっとあの、乱痴気騒ぎの中で……小さな連中と……小さな夢を囲っていればよかった」



 でも、その中で――――夢の中から帰れなくなった民が、一羽だけいたの。




【隔絶】




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