永琳「あなただれ?」薬売り「ただの……薬売りですよ」
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428:名無しNIPPER[saga]
2017/11/30(木) 23:58:16.59 ID:rqejUdQb0


 そんな小さき島に、ある日、大きなる嵐が起こった。
 つっても、今思えば大したことないただの時化(シケ)だったんだけど。
 あの小さな島の連中にとっちゃあ……そんな時化も、大嵐と同じでね。
 

https://i.imgur.com/1XB1W14.jpg


 慌てふためいた「小さな民」は、こぞってあたしの所に集まって来たわ。
 ほんと、何を思ったやら。
 たった一羽の兎に過ぎないあたしに、揃いも揃って助けを懇願してきやがったの。


てゐ「まるで蟻んこみたいだと思った……群がり蠢く、どこまでも小さき民」

てゐ「でも、なんだかんだで助けてやった――――何故なら、あたしには本当になんとかできたから」


 と言っても別に、嵐そのものを消すわけじゃないわ。
 あたしができたのは――――あくまで「嵐を回避する方法」を提案する事。
 

てゐ「嵐がいつ上陸して、いつまで島にいて、どれだけの被害をもたらし、そして何時去るのか」


 あたしにはそれが、”なんとなく”わかった。
 理由はわかんない。けど、ただちょっと空を眺めるだけで、それらが一目でわかったの。

 だったら後は簡単な話だった。
 「いついつくらいに来て、いついつくらいに去るんだから、だったらその間高台にでも避難しとけばいいんじゃない?」
 あたしが言ったのは、ただ、それだけだった……のに。


てゐ「今思うと、あの島の連中は、やっぱりどこかおかしかったと思う」

てゐ「だってそうじゃない。船乗りでもなんでもない、ただの兎の勘を鵜呑みにしてさ……本当に、一言一句その通りに行動したんだから」

薬売り「信頼されていた……んじゃないですか」


 ま、向こうがどう思ってたかは知んないけど……正直、笑っちゃったわ。
 連中の集会に聞き耳を立てて見れば、「何時に集まって、何時に出発して、安全地帯までたどり着くのは何時だから……」とかって、全部あたしの当てずっぽを元にしてんの。

――――でも、結果的にそれは大正解だった。
 あたしが勘と当てずっぽうで言っただけの提案は、自分でもびっくりするくらい、ものの見事に的中していたのよね。







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