永琳「あなただれ?」薬売り「ただの……薬売りですよ」
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427:名無しNIPPER[saga]
2017/11/30(木) 23:48:27.68 ID:rqejUdQb0


てゐ「どこまで……遡ろうか……そうだ」

てゐ「そういや、まだ言ってなかったわよね……あたしの出身」

薬売り「月……ではないですよね」

てゐ「うん。あたしの育った所はね……遥か遠くにある、小さな小さな島だったの」


【島】


薬売り「ほぉ……列島の産まれでしたか」

てゐ「ううん、そんなんじゃない……あれは……言うなれば”孤島”」

てゐ「半日のあれば一周できるような、とても小さくて、とても孤独な島……」

薬売り「孤独な島……?」


【孤独】


てゐ「そんな場所だから……そこに住んでる連中もまた、やっぱり小さくって」

てゐ「あたしはその連中を――――”小さき民”って呼んでた」

薬売り「…………」


――――島の暮らしぶりは、何もかもが小さかった。
 小さな人間。小さな獣。小さな小動物。小さな爬虫類。小さな鳥。小さな虫……
 ただでさえ小さい連中しかいない島なのに、その頭数すらもやっぱり小さくって。
 そんな島の生き物の過ごす日常も、案の定、とても小さい暮らしぶりだった。


【矮小】


てゐ「各々が最低限生活できるような、小さななわばりがあって……その中で互いに干渉する事もなく、こじんまりと過ごしてた」



 でも――――そんな小さな島の中で、大きなる生き物が一羽いたの。



てゐ「その生き物は、獣でありながら、あらゆる種族と言葉を交わす事が出来た」

てゐ「その生き物は、小動物の癖に、身の丈以上ある捕食者と対等に渡り合えた」

てゐ「その生き物は、畜生の分際で……人間以上に、頭がよかった」


 そんな飛びぬけた能力を持った生き物は、いつしか周りを”小さき民”と断ずるようになった。
 小さき生き物。小さき文化。小さき島。小さき存在――――
 口にこそ出さなかった。でもその内心は、知らず知らず態度に現れていたと思う。


てゐ「それが――――”あたし”」

てゐ「大きなる存在と”思い込んでいた”、何よりも小さい……小さな一羽の兎風情」


薬売り「…………」



【自尊】




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