永琳「あなただれ?」薬売り「ただの……薬売りですよ」
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413:名無しNIPPER[saga]
2017/11/28(火) 03:11:29.21 ID:ZInpvyTS0


てゐ「ま……ぼちぼち潮時かぁ……」

薬売り「そうです……いつまでも、この状況を放置しておくわけにもいきますまい」

てゐ「いや、うん……まぁ、そういう意味じゃないんだけどね」


 妖兎は全てを把握し、意を決したそぶりを見せた。
 しかしその素振りの中に、やはりほんの少しだけ「躊躇い」があったのは否めない。
 よって妖兎は、薬売りに一つ問いを投げかけた。
 答えが欲しかったのではない。ただ少しだけ、背中を押してもらいたかっただけなのだ。


てゐ「図々しいかもだけど……もう一つだけ、教えて貰いたいわ」

薬売り「はい、なんでしょう」

てゐ「全てを言えば……本当に剣は抜けるの?」


 薬売りはその問に二つ返事で答え、その結果、妖兎の戸惑いが少し薄れたように見えた。
 妖兎からすれば一安心と言った所である……が、しかしそこは薬売りと言う男。
 この男の持つ「意地の悪さ」を持ってすれば、この期に及んで無駄な不安を煽る事は、ごく自然な成り行きだったのだ。


薬売り「ま、未だかつておりませぬがね……”あっし以外に剣を抜いた人物など”」

てゐ「……」


 せっかく収まった躊躇いが、また元の木阿弥に戻った。
 「自称・確率計算が得意」な妖兎からすれば、その一言がまたも無数の確率を生む事は想像に難くない。
 余計な事を……と叱責したいのは山々である。
 が、しかしこの場で薬売りを責めるのは、まさに「お門違い」である。

 何故ならば……薬売りはもう、関係ないのだ。
 退魔の剣を持たぬ薬売りは、もはや一介の薬売りにすぎない。
 そんな人物に励ましを貰おうなどと、「図々しいにも程がある」。
 そう言ったのは、他でもない妖兎自身である。




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