永琳「あなただれ?」薬売り「ただの……薬売りですよ」
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405:名無しNIPPER[saga]
2017/11/28(火) 01:06:00.55 ID:ZInpvyTS0


てゐ「じゃあ……ええと……こんなケースはあたしも初めてなんだけど」

てゐ「一応まぁ、放棄試合と言う事で……勝者は敗者のスペルカード、またはそれに準ずるものを……」

薬売り「もう、置きましたよ」

てゐ「――――準備よすぎィ!」


 勝利の証はすでに、妖兎の足元に置かれてあった。
 勝利の栄光を称えるかのように、キラリと光るは「退魔の剣」。
 これは理と引き換えに提示された、紛れもなき勝者の証明である。


てゐ「そ、その手には乗らないわよ……」

薬売り「何の、手ですか?」


 そして薬売りのあまりの手回しの良さを前に、妖兎に不信感が湧き出る事もまた、至極道理。
 よって妖兎は、小さくもハッキリと零した――――「こんなうさんくさい奴が素直になるはずがない」
 そうなるのも当然だ。なにせ、他でもない自分がそうなのだから。


てゐ「……実はすでに剣には兎取りが仕掛けて合って」

薬売り「ありませんよ。寸尺的に無理でしょう」

てゐ「……とった瞬間この頭がガブッと噛みついてくるとか」

薬売り「しませんよ……できるならとっくの昔にやっています」

てゐ「ハッ――――わかったわ! この先っちょに薄いワイヤーみたいなのが括りつけてあってそれがあんたの指と(ry

薬売り「やれやれ……疑り深い方だ」


薬売り「そこまで言うなら――――これならどうです?」


てゐ(はう――――!)


 そう言うと薬売りは、両の手を大きく上へ掲げた後、肘を折り曲げ、掌を頭の後ろへ追いやった。
 まるで岡っ引に捕えられたコソ泥のような、実に哀れな姿勢である。
 そんな情けないにも程がある姿を、何故だか自信満々に。
 しかも「してやってる」と言わんばかりに、妖兎の眼前に恩着せがましく見せつけたのだ。


https://i.imgur.com/AzhVk8d.jpg


薬売り「必要とあらば目を瞑りましょう。それでも不安ならば頭を垂れましょう」

薬売り「そこまでしてもまだ不信感が拭えぬのなら……拭えるまで、トコトン付き合いましょう」


薬売り「――――”夜が明けるまで”、ね」


てゐ「う……」


 妖兎は困った。実に困った。
 妖兎の脳裏には、未だかつてどこにも存在しなかったのだ。
 謀った相手が怒り狂う様は幾度も見て来たものの――――自らの「負けを強く主張する者」など、いくら遡ろうと、どこにも。


薬売り「どうしました……勝利を手に取らないのですか?」

てゐ「く、くっそ〜……」

 
 怪しすぎるのは重々承知。が、それでも妖兎は手に取らねばならぬ理由があった。
 否。それはもはや「義務」とすら言えよう。
 何故ならば……見慣れぬ掟にも関わらず、薬売りはちゃ〜んと従ったのだ。

 それは、名付けるならば――――「敗者の掟」。
 さもあれば、今度は勝者が勝利を手にする事も、これまた”掟”の範疇であったのだ。


【責務】



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