永琳「あなただれ?」薬売り「ただの……薬売りですよ」
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386:名無しNIPPER[saga]
2017/11/25(土) 22:52:15.96 ID:cTjbZ6OQ0


てゐ「最初は新参者の癖に生意気だから懲らしめてやろうって、ただのそれだけだったんだけど」

てゐ「おもしろいくらい引っかかるから、なんかもう、いつの間にか病みつきになるくらいハマっちゃって……」

薬売り「向こうからすれば、災難そのものでしょうな……」

てゐ「そんなのお互い様よ。だから、あんたの気持ちも、よーくわかる」

てゐ「高飛車で偉そうで思わせぶりな素振りしてる奴を……”一発引っかけたくなる”その気持ち」

薬売り「…………」


 しかし薬売りにとっては、その長所は壁でしかなかった。
 妖兎のやけに鋭い「察し」の前に、薬売りの企みは、明らかに発覚していたのである。


(――――だったのかも知れません……ねぇ?)


 そう……先刻、薬売りは確かに、玉兎を”ハメ”たのだ。
 言葉巧みに理を聞き出した挙句、果てにその理が、不要とわかるや否や――――まるで、紙屑を屑籠に入れるように。
 

てゐ「おあつらえ向きじゃない。残り物には福があるってね」

てゐ「てなわけで……続きしよっか。ちんどん屋」

薬売り「続き……?」


 同じ兎がそんな目にあわされたとあらば、ただでさえ臆病な兎の猜疑心を揺り起こすのは必須。
 そしてそんな悪行をしでかした薬売りの人となりは、こうしてすでに発覚し終えている。
 しかも不幸な事に――――よりにもよって”最後に残した一羽に”である。


てゐ「ほら、余計なチャチャ入って中断してた……」



てゐ「――――【弾幕勝負】の続きをよ」



薬売り「…………」


 薬売りは、妖兎の問いかけに応ずることなく、そっと瞼を閉じた。
 それは心を落ち着けんが為。
 強いては妖兎の嘲りに、心乱され隙を見せぬ為である。



てゐ「ゲロさせてみなさいよ。ほら――――”うどんげの時みたいに”さ」



 薬売りにとってはまさに、ここが正念場であった。
 モノノ怪へ至る各々の理。その最後の一つが、こうして明らかなる対峙の姿勢を見せている。
 さもあらば、この妖兎を攻略せぬ限り、モノノ怪へと辿り着けぬが同義である。


https://i.imgur.com/wBeFKtu.jpg


 避けて通るはもはや不可能なこの状況――――
 仮に如何なる不足があろうとて。
 よもや、しくじる事など、許されるはずがなかったのだ。



【夜明けの番人】




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