永琳「あなただれ?」薬売り「ただの……薬売りですよ」
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259:名無しNIPPER[saga]
2017/05/13(土) 23:31:22.63 ID:c7/SmhYwo


 レイセンは、縦横無尽に駆け巡りました。
 牢屋同然の病室から。
 新たな飼い主から。
 幾度となく通ったあの建物から。
 そしてついには――――生まれ育った、月の都から。



(不思議ね……あんなに怯えていたはずの、地上の青が……)



 元々月の番人だったレイセンにとって、追っ手を振り切る事など造作もない事でした。
 どの兎もレイセンの足には到底追いつけず、また仮に先回りできた所で、やはりレイセンの力の前にはなす術もありませんでした。
 そうして、あれよあれよと都の中心から離れていくレイセン。
 中心・郊外・僻地・最果て――――そしてあっという間に、辿り着きました。




(今は……希望の色に見える)




 そこは――――産まれて初めて足を踏み入れた場所でした。


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 その場所とは――――都の外。
 月の者が「表側」と呼ぶ、真っ新な大地だけが、そこには広がっていたのです。





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