永琳「あなただれ?」薬売り「ただの……薬売りですよ」
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247:名無しNIPPER[saga]
2017/05/12(金) 20:22:31.41 ID:scudlLjvo


(……やばい)


(完全に……ネタ切れだ)


 あの手この手で地上を蔑みこき降ろし続けたレイセンでしたが、そんなレイセンにもついに限界が訪れます。
 話のネタがない――――それはちょうど、永琳起こした事件が、ようやっと落ち着いて来た頃でした。
 

(え……これだけ?)


(ちょ、ちょっと待って……明日は……もっとおもしろい”お話”用意してくるから……)


 平穏を取り戻した都の変わり様は、同時に流行の変化の訪れでもありました。
 賛美ながらやや過激なレイセンの話は次第に求められる事が減っていき、逆に静かでほのぼのとした小話が都で流行り始めます。
 その結果……あれほど満員御礼だった人々は、まるで神隠しにでもあったかのように、一人、また一人といなくなっていきました。


(告知……したわよね?)


(なんで……なんで、誰もいないのよ!)


 流行の変化とは残酷な物です。
 あれほど兎を持て囃していた人々は、ものの見事に、影も形も消え失せました。
 仮にこれが、本物の噺家ならどうだったでしょう。
 ひょっとすると、同情したファンが根強く支え続けてくれたかもしれません。

 ですがレイセンには、そんなファンすらいませんでした。
 ブームが過ぎたレイセンのその後など、誰も気にしてさえいなかったのです。



(や…………ばい…………)



 それが何故かと問われれば……人々は揃ってこう答えます。
 「だってありゃ、依姫様ン所の飼い兎でしょ――――」
 レイセンにはいつだって、帰る場所があったからです。



(やばいやばいやばいやばいやばいやばい――――!)



 レイセンには、死活問題でした。
 ウケる話が出てこない。話がウケないとお酒が貰えない。
 お酒がないと酔えない。酔えないと目をそらせない――――
 あの時、地上から自分を見ていた、鬼の目から。



【危機】





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