永琳「あなただれ?」薬売り「ただの……薬売りですよ」
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248:名無しNIPPER[saga]
2017/05/12(金) 20:53:42.43 ID:scudlLjvo

(見つかる……見つかる……見つかる……)


(見てる……来る……仕返しされる……)


(来る……来る……鬼が……来る……!)


(――――カッ! カッ! カッ! カッ!)


 その時から、レイセンは変な息切れを起こすようになりました。
 カッカッカと、まるで笑い声のような、息の詰まった乱雑な吐息です。


 その原因は明らかでした――――お酒です。



(カッ! カッ! カッ! カッ――――……)



 毎日大量に飲み続けたお酒が、ある日急に断たれたら、一体どうなってしまうでしょう。
 答えは一目瞭然でした。
 そしてそれは、兎にも当てはまりました。
 静かに落ち着いていく都と引き換えに、レイセンの心身だけが、激しく乱れていきました。


(お願い……カッ……お酒……お酒頂戴……)


(ほんの少し……カッ……ほんの一滴でいいから……)


 あからさまなレイセンの異常に、見かねた飼い主が都中の医者を呼び寄せます。
 月は文明大国です。ですので、医者は余るほどたくさんいました。
 しかし、病気を一瞬で治すほど優れた医者など、月の歴史を紐解いても、ただの一人しかいませんでした。



(ひいいいいい! い、医者ッ!?)



(く……来るなァーーーーーッ! 寄るなーーーーーッ! 誰も近づくなァーーーーーッ!)



 そしてその唯一の医者こそが、レイセンの異常の原因だった事は……
 最後まで、誰にもわかりませんでした。





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