永琳「あなただれ?」薬売り「ただの……薬売りですよ」
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221:名無しNIPPER[saga]
2017/05/06(土) 22:14:25.16 ID:JykFf7uxo


(あ〜……めんどくせぇ〜……適当に終わらせてさっさと帰ろ……)


(ちっ、うっぜーな! 言われなくてもわかってるっつーの!)


 月のお仕事は、レイセンの思い描いていた内容とはまるで別物でした。
 都を守る月の番人――――なんて言えば聞こえはいいけれど、やる事は毎日、待機と勉強の繰り返しです。
 今思えば、まだ新人なのだから、大した仕事を与えられないのは当たり前の事でした。
 ですが、そんな事すら知らない当時のレイセンは、鬱憤にかまけて段々と不遜な態度を取るようになります。

 サボリ・遅刻は当たり前。
 仕事中に堂々と居眠りをしたあげく、注意をされよう物なら逆ギレまで。
 ひどい時には、持ち前の”狂気を操る力”を使って、先輩兎の妨害までもをしでかす始末でした。
 

(どいつもこいつもバカばかりね。あたしってば、褒められて伸びるタイプだってーのに)


 都の人気者だった頃はこんな事はありませんでした。
 ちょっと愛想を振りまくだけで、誰もがちやほやしてくれました。
 ですがこの職場は違います。多少頑張った程度では、誰も褒めてくれません。
 先輩兎の言う事はいつも決まってました。「もっと精進なさい」。
 レイセンはその言葉に歯向かうように――――いつしか、頑張ることを辞めました。



(あ”〜……マジおっもんな……)


(やめちゃおっかな……でもなぁ〜……)



 怠惰にかまけ、露骨にやる気のない態度を出すレイセンでしたが、それでもお仕事を辞める事まではしませんでした。
 かつて八意永琳と交わした「名を与える」約束。それだけが、この退屈の中にある、唯一の希望だったのです。
 やる気はないながらも、数さえこなせば、それなりに仕事は覚えます。
 そして曲がりなりにも、仕事さえ覚えれば、「いつか永琳は約束を果たしに来てくれるはず」。
 レイセンが仕事を続ける理由は、もはや、ただのそれだけしかありませんでした。




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