永琳「あなただれ?」薬売り「ただの……薬売りですよ」
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名無しNIPPER
[saga]
2017/05/04(木) 20:25:01.77 ID:jSwuJJZ7o
うどんげ「月の都の生活は……うーん、なんつったらいいか……」
うどんげ「説明が難しいわね……あんたら地上人には、絶対想像つかないだろうし」
薬売り「平たくで、結構ですよ」
玉兎は「大雑把」と前置きをした上で、こう言った。
「――――月の都の生活は、地上の民が浮かべる夢物語とほぼ同等である」。
……いや、大雑把すぎないか?
ならばならば、水を酒に変える実や、雷を落とす杖。
突風を生む扇子に、振るだけで財宝の溢れる小槌。
他にも数多あるあの宝具の数々が、月には一挙に集っておるとでも言うのか!
うどんげ「簡単に言うと――――”文明が望む物全てを与えてくれる”。って所かしらね」
薬売り「全てを……?」
ぐぬぬ、あなどり難し月の都。
想像を遥かに超えておったわ……それらはまさに魔術と言っても差し支えないであろう。
言うに事欠いて「文明が全てを与えてくれる」だと……?
ええい! なんとかこちらから月に向かう方法はないものか!
うどんげ「何でもかんでも文明が全てを肩代わりしてくれる……何もせずとも、栄た文明が勝手に全てを与えてくれる」
うどんげ「だからこそなのよ。だからこそ……」
きぃ〜何と羨ましい!
ならばならば、毎日毎日昼まで眠り、肉や酒をかっ食らい、夜分遅くまで家に帰らずともよいと申すのか……!
まこと、気が狂いそうなほどに羨ましき文明じゃ。
だって、そうであろうに。
勝手に実るならば農民はいらぬ。
勝手に届くならば飛脚はいらぬ。
勝手に残るなら書はいらぬ。
勝手に唄うなら、琵琶法師はいらぬ……
薬売り「だからこそ……?」
まさに奉公から解き放たれし享楽の園。
――――しかししかししかぁし!
これまた何故なのか。本ッ当に何故なのか。
それらの享楽を否定した酔狂な者が一人……いや、一羽だけ、月にはおったのだ。
うどんげ「いつしか……人々は自分から動こうとしなくなった」
うどんげ「いつしか誰も……夢を見なくなった」
うどんげ「いつしか、ただ、無限に等しい時を……無駄に消費するだけの存在に、成り下がった」
この柳幻殃斉。生まれてこの方、ここまで同意できぬ意見に出会った事はない。
身共とて、あの地獄の修行の日々の最中。
あの日ほど、修験志して後悔した時はなかったと言うのに……
しかしそこで終わらぬのが、この柳幻殃斉という男よ。
それらの修行を耐えきった身共だからこそ、ピーンと来たぞ。
平民にはわからぬであろうなぁ。
修験道を骨の髄まで叩き込まれた身共だからこそわかる、一種の悟りじゃ。
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