39: ◆Wv.nqe0Jy.[saga]
2017/03/16(木) 18:54:02.38 ID:mBfbfeoZ0
「ふぎぃぃぃ、ふぐぅぅぅ」
嫁入り前の女の子が出していい声ではありませんが、もはやそんなことを気にしている場合ではありません。
それほどない筋肉を全力で駆使し、ブレーキを押そうと試みます。
突如船が上下に揺れました。
「あっ!」
伸ばしていた腕があらぬ方向に動きました。そしてガンっとどこかに当たります。
ウィーン。ウィーン。
木造手漕ぎ船からは絶対に鳴らないはずのメカニカルな音と振動が伝わってきました。
「ああ……」
もう悟ります。悟りましたが一応尋ねます。
「妖精さん? これはなぁに?」
「ひこうゆにっとですが?」
飛行ユニット。まあ、なんと素敵な言葉なのでしょう。
海面を切る振動がふと消え失せました。加速がどんどん増していきます。
体にかかるG。体中の血液循環が滞り始め、視界が薄れていきました。
… … …
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