38: ◆Wv.nqe0Jy.[saga]
2017/03/16(木) 18:52:32.61 ID:mBfbfeoZ0
「よよよよよよ妖精さんっ!!!!????? なにこれ!? なんですかこれ!?」
ものの数秒で、単なる手漕ぎボートだったとは思えぬほどの猛スピードに達しました。わたしは縁につかまりどうにか振り落とされないように踏ん張ります。
「じぇっとたーぼですが?」
「おんそくのかべ、こえます」
「ひぃぃぃぃぃ!? 全然安全じゃない!」
「そにっくぶーむ、ぜんぶかいひしますゆえ」
わーい、音速出ても平気ですねー。なんてことにはなりませんよあたりまえですが。
とんでもないことになってました。ああ、完全に迂闊。このあんぽんたん。
妖精さんのコントロールを誤ればこうなるってことぐらいわかってたのに……。人間慣れてきたころが一番失敗するリスクがあるという格言が痛いほど身に沁みました。神話は必ず崩壊するのです。
いえ、脳内反省会をしている場合ではありません。
「妖精さん! ブレーキぃぃぃぃぃ! ブレーキはどれですかぁぁぁぁぁ」
「こちらになります」
妖精さんが指示したのは、アクセルの隣にある一見何でもないような木目でした。
「ううぅぅぅぅ……、届かないぃぃぃぃぃ」
わたしの腕も足も、ブレーキといわれていた場所にぎりぎり届かないところにありました。
妖精さんは慣性の法則? なにそれ? といわんばかりにとことこ移動していますが、物理的な存在たる私はそんなわけではありません。強烈なGによりちょっと手足を動かすことすら叶わないのです。
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