316: ◆Wv.nqe0Jy.[saga]
2017/04/22(土) 19:31:48.53 ID:N4f4DzpF0
上を見上げると、ちょうど私たちが振ってきたのだろう四角い穴がぽっかり空いていました。天井は高く、穴からここまでも10メートルはありそう。我ながらよく助かったものです。
天井にはクレーンが設置されており、壁にもいくつか大きな穴が開いています。おそらく製造された茶葉をここに運び込み、あのカフェをはじめとした各施設に分配、配送を行っていたのでしょう。
「さて……、どうやってここから出ましょうか」
「う〜ん、ドアもないみたいだからねぇ〜」
アルパカさんも困ったようにあたりを見回します。壁の穴は天井付近にあり、到底届きません。ハシゴや階段の類もなく、脱出は難しそうでした。
その時、暖色だった照明が突如エマージェンシーなサイレンとともに赤く変わりました。
『禁止地区にフレンズの立ち入りを確認シマシタ。タダチに保護シマス』
「あ、ボスの声だぁ〜」
危険漂う雰囲気の中、アルパカさんののん気な声が逆に際立ちます。
「ぼ、ボスってジャパリまんを配ってるとかいう? 機械音声なんですか、彼女!?」
「う〜ん、ボスがしゃべってるの、私もこの間初めて聞いたんだよぉ〜。かばんちゃんとはおしゃべりしてくれるんだけどねぇ〜」
「なんだか剣呑な感じなんですが大丈夫なんですか!? なんかまずい感じになりませんか!?」
「だぁいじょーぶだいじょーぶ。ボスは悪い子じゃないからぁ。ちょっと無口なだけだよぉ?」
サイレンの中に、わたしの耳は何か別の音を感じとりました。
「……何か、聞こえませんか?」
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