312: ◆Wv.nqe0Jy.[saga]
2017/04/22(土) 19:25:05.68 ID:N4f4DzpF0
「どれもおいしいねぇ」
「ありがとうございます」
お菓子作りを終えたわたしたちは、クッキーやマフィンを手に一息ついていました。しかし、ここでわたしは大きな間違いを犯していることに気が付いたのです。
「…………」
「…………」
アルパカさんも気づいてしまったようです。ええ、初歩的なミスでした。わたしが紅茶の代わりにならないかと提案したお菓子の数々、これらを食べていると、
「……紅茶がほしいですね」
「そうだねぇ」
元々お茶菓子ですものね!(半ギレ)
「こーちゃと一緒に出したらおいしいんだろうねぇ〜」
「……そういえば、アルパカさんはどこで紅茶を入手していたんですか?」
「え? ああ、それねぇ、そこの箱の中に入ってたんだぁ。初めてここに来たときぃ、すんごくいいにおいがしたからはかせに教えてもらったんだよぉ〜」
アルパカさんの言った箱は、食器棚の横にちょこんと置かれていました。蓋を開けてみますと、中には何も入っていませんが紅茶の良い香りが漂ってきます。
「前はどんだけ使っても無くならなかったのにー、この間から急に減っちゃったんだぁ」
「なるほど……」
だいたいタネが見えてきました。
かつて、自動供給装置と呼ばれるものが都市に張り巡らされていたといいます。情報通信デバイスを利用した物資の供給システムです。生産工場から家庭まで、全自動で物を運んでくれたとか。
おそらくパークにも同種の装置が存在しているのではないでしょう。生産から流通までのシステムが生きているなど聞いたことがありませんが、この事態を説明するのにはこう言うしかありません。
「なんでまた紅茶だけ機能停止に……」
「こーちゃ、飲みたいねぇ」
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