65: ◆AZbDPlV/MM[saga]
2025/01/15(水) 18:24:44.70 ID:rQ/7d1wt0
王馬 「うわぁ…マジで猫缶食べてるー」
王馬 「マジで星ちゃん、人としてのプライド捨てちゃってるの?」
王馬 「もう獣じゃーん!」
猫になってしまった俺が、箸やスプーンを握れるはずもない。用意された皿の中の飯を、猫のように口だけで食べていると、王馬が言葉とは正反対の好奇心に満ちた眼で、俺をジロジロと観察している。
鬱陶しいが、相手すればつけあがるのは解っているから、目の前の飯を黙々と食う。しかし案外いけるんだな、猫缶。
獄原 「王馬君、人が食事しているところを邪魔をするのはマナー違反だよ」
王馬 「人じゃないじゃん。猫だよ」
獄原 「そ、それはそうなんだけど、そうじゃなくて……ね、猫さんにだってしたらダメだと思うよ!」
……ふたりでまた不毛な会話をはじめる気か? コイツらは本当に、俺の話を聴く気はあるのか?
王馬 「ま、今はとりあえず、その話は置いとこうよ」
王馬 「星ちゃんの話聴きたいからさ」
獄原 「あ、うん! そうだね!」
不毛な会話に発展するかと思ったが、王馬が俺に向きなおる。普段は余計なことしか喋らないクセに、優先して話さなきゃならねぇことがあるときは、自分から外しにいっていたとしても、軌道をすぐに自分で修正する。テキトーなのか、意図的なのか、よく解らん。
飯を食べ終えた俺も、座ってふたりを見あげて話す体勢になる。
『つってもな……俺も朝起きたらすでにこうなっていたからな……』
『むしろ、俺の方が説明してもらいたいもんだぜ』
この現象を説明しろといわれても、当事者である俺が1番理解できていない。それを示すように、やれやれと首を振ってみせる。
獄原 「朝起きたら、すでにこうなっていたそうだよ」
獄原も首を傾げながら、王馬に俺の言葉を通訳する。
王馬 「じゃあさ、猫になにか祟られるような悪さしたりしてなーい?」
王馬 「よく言うよね。猫の祟りは強くて執拗だって」
獄原 「ね、猫さんの祟り?!」
王馬 「そのせいだったりしてー」
猫の祟りと聴いて、獄原の顔色が蒼ざめる。こいつはこうした王馬のテキトーな嘘をすぐに信じちまう。いい加減学んでくれと思う。とはいえ、いつもなら、祟りなんてそモンありえねぇと一蹴してしまうところだが、今のこの状態じゃあ、その可能性が高いのかもしれねぇと思えてしまう。だが、今明確に答えられるのは……
『するわけないだろ』
短くそれだけ答えた。今の生活で猫に関わる機会なんてそうない。あったとしても、祟られるようなマネを猫相手にするワケがない。
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