4: ◆AZbDPlV/MM[saga]
2017/03/11(土) 01:54:26.12 ID:XmOu0iY50
私を前にした動物は、私の殺気を恐れて一目散に逃げてしまう。坊っちゃん達の犬も、自分で飼っている文鳥でさえも、私を受け容れてくれなかった。
こんなことははじめてだ。もしかしたら、私の動向を伺っているだけで、動いてしまえば逃げてしまうのではないかとも思う。
けれども、私は賭けてみたい。この猫が、私に触れることを許してくれるかもしれないと。
再び、中腰になって猫に向かって手を伸ばす。期待と不安で手が震える。口が開いたままになって呼吸が荒くなる。今の私は人にみせられない酷い顔をしていることだろう。
しかし、そんなことよりも今私が優先するべきは、目の前にいる猫に触れられるか触れられないかを確かめること!!
私の手が近づいていくにも関わらず、黒猫は私の瞳を見つめて逃げようとしない。こんなことは、はじめてのことだ。
もふっ
「ふぉおっ!!」
はじめて触れる生きた猫の毛の柔らかさと艶やかさに、私は喜びと感動で妙な声を出してしまう。
しかし夢にまでみた、もふもふした動物に触れている! なんて気持ちがいいのだ! 撫でる手がとまらん!!
猫「にゃー」
(はっ!!)
さすがに撫ですぎてしまったか! 鬱陶しがってなのかなんなのかは解らないが、身を引きながら鳴かれてしまった…。
「あ…」
人間だって、好意をもっていない相手からの過度の接触はイヤなモノ…猫だって同じだろう…。私はなんということをしてしまったのだ…。
「すまない…」
私が謝罪をすると猫は、まだ頭上にある私の掌に鼻先をちょんと押しつけた。
猫のその行為に、私の胸はきゅうっと締まるような衝動的なトキメキが襲いかかってきた。
まるで私の言葉や心の内を理解しているように思えて私は────
私は────
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