19: ◆AZbDPlV/MM[saga]
2017/04/11(火) 13:05:51.03 ID:YNtF4pbK0
王馬 「だったらオレが星ちゃん飼うよ!」
『は?』
獄原 「えええっ?!」
唐突にこいつは…本気で言ってやがるのか?
王馬 「元人間、元クラスメイトの猫なんて、ペットとしてつまんなくなくてサイコーじゃん!」
王馬 「喋れたらもっとレアだったのになぁ」
王馬 「このままでいいっていうけどさ、星ちゃんだって、本当なら困るでしょ? 自分のことを自分でできないんだからさ」
王馬 「野生の獣としてやってくつもりなら、それならそれで構わないよ? 星ちゃんが選んでよ」
確かに、いきなり猫になっちまった俺がいきなり外に出て、いきなり野生の猫の生活をするというのは難しいモノがある。だが、あの監獄の中にも慣れたんだ。どれだけ過酷だろうが、劣悪だろうが、いずれは順応するはずだ。
『テメェに飼われるのだけはゴメンだぜ』
獄原 「えっと…王馬君に飼われるのだけはイヤだって……」
王馬 「だよねー! 知ってた!」
王馬 「じゃあ、ゴン太が飼う?」
獄原 「飼うって言いかたはしたくないから、一緒に暮らすって言わない?」
『それはそれでどうなんだ……?』
というか、なぜ当然のように俺を飼う飼わないの話になってやがるんだ? 田中のような才能持ちに任せるだとかの発想はないのか?
王馬 「とにかく、星ちゃんがどうしたいかなんだよね。ガチで野生の猫になりたいなら、これまでの星ちゃんとの思い出も泣く泣く忘れて、学園に迷い込んだ目の前の猫を、今すぐにでも引っ掴んで追い出さないといけないからさ」
獄原 「そ、そんな…」
王馬 「だってそうでしょ? 中身が元人間だからって、人間捨ててるようなヤツは特別扱いにはできないよ。学園側だって、おもしろい実験体だっていう利用価値があるとみなさない限りは、ただの猫。すぐにでもおん出すんじゃないのー? 置いとくだけムダだもん」
学園の生徒でなくなってしまったとなれば、王馬の対処は間違っていない。正論だ。王馬の話に獄原の顔色が蒼白になる。
『おちつけよ、獄原。お前も昔は山で過ごしていただろう』
獄原 「で、でも、それは山の家族がゴン太を育ててくれたからで…」
『大丈夫だ。俺はガキじゃねぇ』
獄原 「ゴン太は星君を大切な友達だと思ってるんだ…だから、ゴン太は星君と一緒にこの学園を卒業したい…もしそんな形で学園から出ないといけなくなっちゃったら、ゴン太は悲しいよ」
他のヤツらなら、その場限りの言葉で納得させようとしているようにしか受け取れないが、こいつの場合は純粋に心と言葉が直結していて、一切の誤魔化しはないことを解っている。
だからなのかも知れねーが“大切な友達”という、簡単に使える道徳的な安い言葉でも、ここまでの言動が獄原の俺に対する考え方の全てなのだろうと思うと、なかなかくるものがある。
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