17: ◆AZbDPlV/MM[saga]
2017/04/11(火) 13:03:27.49 ID:YNtF4pbK0
猫…猫といえば、飼っていたあいつくらいしか…まさか…あいつの身になにかあったか?
『今は預けちまってるが…飼っていた猫くらいしか思い当たらねぇな』
獄原 「星君、猫飼ってたんだ! うーん…もしかして、その子になにかあったのかな?」
獄原 「ねぇ、星君。その預けた人の連絡先が解るなら、僕が代わりに連絡して確認してみるよ」
獄原の表情や声色から、俺の猫の心配をしているのが解る。確認をすれば、俺も獄原も、安心はできるが…。
『確かに気にはなるが、そこまで面倒みさせらんねぇよ。気持ちだけ受け取っとくぜ』
獄原 「……本当は気になるんじゃないの?」
『……まぁな』
それをしちまうと、未練ができちまいそうだからな…なるべくなら確認しないでおく方がまだいい。そいつに何かあってこうなってるってんなら、全部このまま引き受けてやるから、元気にやっていって欲しいと願う。
王馬 「訳さなくても、ゴン太の独り言でなんとなく察したけど…」
王馬 「飼ってた猫なんでしょ? 薄情なんだねー、星ちゃん」
王馬 「さすがは殺人テニスでマフィアを潰しただけあるよね!」
『どうとでも言え』
獄原 「違うよ! 星君の声が寂しそうなの、ゴン太解るよ!!」
王馬の言葉をきいた獄原は真剣な眼差しで王馬を見据えて反論する。
獄原 「星君は薄情な人なんかじゃないって、ゴン太は知ってる!」
王馬 「あいにくと、オレにはソレがさっぱりなんだよねー。殺人犯だし。だから死刑囚なんでしょ。悪いヤツじゃん」
獄原 「王馬君はどうして悪意のある言い方ばかりするの? ゴン太は悲しいよ……」
『もういい。この話はなしだ』
今度はぶつかりあおうとしているふたりを制止する。俺なんかのことでわざわざ争う必要はない。
俺の言葉に、獄原は驚きながら身を乗り出す。
獄原 「ダメだよ! もしかしたらその猫さんがなにか手がかりになるかも知れないんだよ?!」
『俺はこのままでいい』
『獄原。俺は戻してくれなんて頼んでないぜ』
獄原 「それは…そうだけど!! 星君は人間なんだよ? 猫さんのままなんて、いいワケない!!」
少しずつ感情的になりだす獄原には悪いが、俺は嘆息する。
『お前さんが熱くなったところで、俺の考えは変わらねぇよ』
獄原 「どうして? どうして諦めてるの?」
獄原の瞳に涙が溢れていく。
どうして俺のことなんかで涙を流そうとしているんだ? 真剣になれるんだ?
(こいつのお人好しには参るぜ…)
(こんな世話の焼かれ方は苦手だ…慣れちゃいねぇんだ)
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