11: ◆AZbDPlV/MM[saga]
2017/03/11(土) 14:11:34.29 ID:XmOu0iY50
『飛び込む気はねぇが、飯の用意は助かるぜ』
俺が言葉を発した瞬間、獄原の顔が明るくなった。
獄原 「わあっ! ペットは飼い主に似るっていうけど、声と喋り方まで似てるんだね!! スゴイよ!!」
「!」
獄原 「キミのお名前は?」
こいつ、動物の言葉が解るのか?! そういや昔、狼に育てられたんだったか。なるほどな。だったら話は早いぜ。
『似てるもなにも、俺がその本人だぜ、獄原』
獄原 「え? キミが星君? 星君は人間だよ?」
『それがな、朝目覚めたらこの姿になってやがったんだ』
獄原 「ええっ?! そうなの!?」
王馬 「何ひとりで喋ってんのゴン太。気持ち悪っ」
獄原 「ち、違うよ! この猫さんがね、自分は星君だって言うんだ!!」
獄原の言葉に、王馬の目が訝しむように細められる。
王馬 「ゴン太の頭はついに壊れちゃったみたいだね」
まあ、ふつうならそう思うだろうよ。
獄原 「本当だよ! ど、どうしたら信じてもらえるかな…」
しかし獄原も、にわかには信じられない現象を王馬に納得して欲しいようで、言葉をみつけようと頭を抱える。紳士をめざしている獄原からすれば、嘘を吐いていると思われるのは気分のいいもんじゃないだろうな。
俺を前に獄原と王馬が押し問答しはじめる。猫の姿だと、うるせぇと一喝することができねぇのが面倒だな。
『獄原、王馬は俺の言葉が通じねぇ。理解させようとするだけムダだ』
獄原 「で、でも…」
『行こうぜ』
そういってベッドから飛び降りて、獄原に部屋から出る意思をみせるが、俺の体が急に上へと引っ張られ足が地面から浮いた。そのままぐんと体は持ち上がり、体を回転させられる。俺を持ち上げた犯人は王馬だった。
王馬 「なー、おまえ本当に星ちゃんなの? 元々マスコットぽい見た目なあのに、また随分と可愛くなっちゃったよねー!」
「……」
俺の伸びた胴をぶらぶらと揺らして遊びながら、ニヤニヤ楽しそうにしやがる。クールじゃねぇが、相手がこいつとあってか、可愛いと言われてちょいと頭にきた。
猫の足のバネの強さを知っている。今、両の前足の付け根を持って支えられ、胴は伸びた状態だ。そこから俺は支えを軸にして、胴体を振り子のように勢いをつけて王馬の胸元を蹴りつけた。
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