日向「神蝕……?」
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93:ヒヤコ ◆XksB4AwhxU
2017/03/23(木) 22:23:42.73 ID:TdN3Svrc0
苗木  「舞園さん、足元気をつけて……あれ、桑田クン?」ガサッ

舞園  「えっ……どうしてここに?」

茂みから出てきたのは、今一番会いたくねー二人だった。
「さっき目覚めたんだよ」とだけ答えて電子生徒手帳をしまうと、苗木が気まずそうに視線を泳がせる。
しばらく無言でお互いの顔を見ていると、舞園が「歩いてみませんか?」と道を指さした。

苗木  「あの……葉隠クンに聞いたんだけど、今日の蝕は、三人一組でクリアしなきゃいけないらしいんだ。
     だから……とりあえず今だけは、僕達と協力してくれないかな。話すのはその後で……」

桑田  「……分かった」

苗木  「よかった……あ、僕の文字まだ見せてないよね」

歩きながら、苗木は制服をまくって腰にある『望』を見せた。

舞園  「私の文字は……ちょっと、恥ずかしい所にあって……"歌"という字です。
     声を弾丸のように放つことができるんですよ」

胸のあたりをおさえた舞園は「敵は、まかせてください」と付け加えて、思いつめたみたいな表情をした。
てくてく歩いている間、何も出てこない。ひょっとしてこのまま出口まで行けるんじゃね?ってぐらい。
道が終わると、その先に白い扉があった。

桑田  「あ、あれ……葉隠が言ってたやつか?」

苗木  「うん。だったら次は……『我は龍』……喋った!!?」

白龍  『この試練を生き延びたくば、我を倒し、この中にある鍵を手に入れよ。そなたらの持つ
     "力"か、"知恵"か。それにて道を示したまえ』

桑田  「……オレの文字で開けられっかな」カッ


"出(いずる)"


オレの手から出た文字は、扉に吸いこまれると同時に消えていった。

桑田  「んだよ、肝心な時に役たたねー字だな……ん」

『この扉は、偽物だ……本物は元きた道の向こうにある』

苗木  「何か聞こえた?」

桑田  「なんでもねーよ……多分幻聴だろ」

舞園  「力か、知恵……力は文字のことだと思うんですけど、知恵は何でしょう?」

苗木  「多分、鍵の位置を見つけ出せってことじゃないかな。霧切さんみたいに、弱点を
     見つけ出せる文字を持ってる人もいるだろうし……」

桑田  「お前の文字はどうなんだよ」

苗木  「うん。僕の字は、相手の願望を読みとる能力なんだ。
     龍はきっと、僕達に鍵を奪われたくないはずだから……そうか!」カッ


"望(ぼう)"


苗木の文字が発動した瞬間、龍の腹のあたりが透けて小さい鍵が見えた。



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