84:ヒヤコ ◆XksB4AwhxU
2017/03/23(木) 13:41:11.97 ID:qVx0d9/40
桑田 「パスワード?」
葉隠 「"僕を救う為に、舞園さんが残してくれた希望のメッセージだ"って、
11037をパスワードにしたんだべ」
それを聞いた瞬間、オレの頭の中で何かが弾けた。胸のあたりがすうっと冷えていく。
葉隠は「絶望の残党を救うために」だの「桑田っちを覚えているからあの数字を」だの抜かしている。
そりゃねーだろ、苗木。
桑田 「……ざけんなよ」
葉隠 「えっ?」
桑田 「あの数字が、希望のメッセージ?……はっ。苗木のヤツ、頭ん中にケシ畑でも広がってんのか?」
桑田 「あんな一生懸命殺人計画練ってた舞園が!部屋まで交換して、罪をなすりつける気満々のあいつが!!
苗木を助ける?んなコト考えてるわけねーだろ!!自分に気があるの分かってっから利用した!!
そんだけの話を、よくもまあそこまで都合よく考えられんな苗木は!!」
霧切 「桑田くん、落ち着いて。話はまだ終わってないわ」
桑田 「11037なんて、オレにとっちゃ"絶望のメッセージ"なんだよアホ!!そこだけ都合よく忘れて
"仲良しに戻りたい"とか、どの口で言ってんだって話だろ!!!」
葉隠 「いやあ……ぶっちゃけ、俺らはみんな反対したんだわ。だけど苗木っちがどうしてもって」オタオタ
桑田 「人殺しと薄情者なら釣り合ってっけどな……苗木に伝えとけ、
"オレらは関わんねーのが一番いい"ってよ!!」
中指を立てて怒鳴ると、葉隠は気まずそうに目を泳がせた。霧切も黙っている。
オレはそんな二人を置いて、さっさと寄宿舎に戻った。
□ □ □ □ □ □
(痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い)
アタマん中、その二文字がぐるぐる回ってる。
なんで首輪を引き剥がそうとしたんだ。おかげで両腕が心臓をガードしちまってて、
死ぬに[ピーーー]ない。心臓が破裂してくれりゃ一発なのに、意識すら飛んでくれない。
(左目、0.03秒。右太もも、その0.06秒後。右肩が砕けるまで、あと4秒)
ぐちゃっと音がした。左目の奥が熱い。利き目やられちまったな。肩もイカれた。
そこでやっと、最後の一発がアタマの横んとこ直撃した。
サイレンが響いて、処刑が終わる。拘束していたベルトが解けて、
体がだらんと下がった。同時に、オレの口から「ゴボッ」と血があふれる。
あいつらはオレが死んだって思ってるみたいだ。生きてっぜ。短けー命だけど。
(あー、早く死にてえなあ……)
体がどんどん冷たくなって行く。残った右目を動かしてみると、視界に黒い点がちらついた。
脳味噌のどっかがやべーのか、折れた右足がぶれて見える。
暗転。
□ □ □ □ □ □
桑田 「――っ、ぶ、はっ!!」
桑田 「ゆ、夢……?」ハァーッ、ハアーッ
一瞬、自分がどこにいるのか分かんなかった。背中が汗だくで気持ち悪い。
電子生徒手帳を見ると、夜の3時だった。
桑田 (……大和田とセレスも今ごろ、うなされてんのかな。あいつらはメンタル強そうだし、
オレが心配することじゃねーか)
個室には野球用具がなかった。つーか、あったのは制服と下着、教科書類だけだった。
シャワールームには歯ブラシセットとタオルが一枚しかない。なめてんのか。
西地区の方も同じらしく、菜摘は「明日の放課後に南地区で買いものすっから、
荷物持ちにしてやってもいいよ」とメールしてきた。
桑田 (まだ小指なくしたくねーしな……行くか)
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