71:ヒヤコ ◆XksB4AwhxU
2017/03/20(月) 21:11:37.94 ID:/hzpnLfA0
桑田 「いって!」ドサッ
逃げようと走り出した生徒が勢いよくぶつかってきた。
尻餅をついたオレの手を、菜摘がぐいっと引っぱる。
菜摘 「まったく……あんたそれでも"超高校級"なわけ?」ハァ…
菜摘 「ごめん。あたし、一人で行くね。お兄ちゃん、どっか行っちゃったみたいだし……
あんたを巻き込むのもアレだからさ。……じゃ、がんばってね」
それだけ云うと、菜摘はさっさと走ってった。
ガタガタ震えている舞園を、苗木が背中にかばっている。大和田も石丸も、あっという間に見えなくなった。
『グルルル……』ボタボタ
オレのすぐ近くに、化け物がビチャッとよだれを垂らした。赤い三つ目に映っている情けねー顔と目が合う。
そこでやっと、頭のどっかにスイッチが入った。
桑田 「くそっ……んな所で、死んでたまっかよ!!」ダンッ
オレはパイプ椅子に飛び乗って、その上を走った。化け物の死角に回り込んで、素早く抜ける。
桑田 「うらぁッ!!」バターンッ
校庭に出るドアを蹴破ると、化け物が四匹、なんかに群がっていた。
ビチャビチャ…グチュッ、グチャァッ…
桑田 (ひ、人……か?)
嫌な予感がして、さっと目をそらす。あちこちで、化け物に生徒が喰われてた。
たいていは一発で噛み殺されて、鋭い牙で食い破られている。
生徒A 「なあ、あの塀から出られんじゃねーのかな」
生徒B 「よし、行ってみようぜ……あ、お前も来るか?」
声をかけられて、一瞬反応が遅れる。
そいつらは、菜摘と同じブレザーを着てた。あいつと同じ予備学科なんだろーか?
生徒C 「つーかお前、本科の桑田だろ。……ま、いっか。一人増えても大したことねーし」
一人が、塀に手をかけて登ろうとする。オレもこの状況に慣れてきたのか、周りを観察する余裕が出てきた。
遠くで、ネクタイを握りしめてる奴がいた。一瞬だけ光ったかと思うと、それは日本刀に変わってる。
「らあああッ!!」ブンッ
化け物の首を落としたそいつは、その勢いのままもう一体に斬りかかった。
そういや、学園長が言ってたな。『闘うための漢字』だっけ?
桑田 「……なあ、お前らにも、その……"漢字"ってあんのか?」
生徒A 「あるぜ。俺は"達成"の"達"って書いたんだ」
そいつは前髪をかき上げて、デコのとこにある『達』を見せてくれた。
じゃあ、さっきのあいつもその字で、ネクタイを刀に変えてたってことか……?
桑田 「じゃあ、多分なんだけど、オレの字……出口作れっかもしんねー」
しまった。
思いつきで言ったのに、予備学科の奴らは目を輝かせて「マジ?」と喜んだ。
生徒B 「じゃ、出らんなそーだったら頼むわ」
生徒C 「おうっ、オメーにかかってるぜ!!」グッ
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