日向「神蝕……?」
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70:ヒヤコ ◆XksB4AwhxU
2017/03/20(月) 21:11:10.14 ID:/hzpnLfA0
そんなアナウンスの後――

学園長 『私の名前は霧切仁。希望ヶ峰の……君達の、学園長だ』

あれ、学園長ってモノクマじゃ……んじゃ、あのおっさんがモノクマの中の人か?
想像してたよりかっこいいっつーか、若い。非現実的なことが続いていたせいか、
オレはぼんやりした頭で、学園長の話を聞いていた。だから、突然入ってきた言葉に耳を疑った。


学園長 『これより君達2500人の生徒には、命を賭して闘ってもらう!!』


桑田  「……は?」

菜摘  「はあ?笑えないんだけど……何で学校で命(タマ)賭けなきゃなんないの?」

少しずつ、切羽つまった空気が充満して行く。
そんなオレたちの手の中に、ひらっと小さな紙が落ちてきた。

学園長 『その円の中に、各々が"闘う"ための漢字を書いてくれ。一文字しか書けないから、
     慎重に選ぶんだ』

桑田  (……もしかして、なんかのテスト?)

希望ヶ峰ってフツーの学校じゃないし、これで何かの適性を見たりとか?
……いや、ありえねー。あのコロシアイ学園生活は絶対夢じゃねーし、オレは確かに死んだんだ。
だったら、なんで……

菜摘  「ねえ、考えるのは後にしない?たかが一文字じゃん」

菜摘の声に、ハッと気づいていつの間にか持ってた鉛筆を持ち直す。
闘う、か。……まあ、オレは一応野球選手なわけだし。『打』とか、『球』とか……球?

――千 本 ノ ッ ク。


桑田  「ハーッ、はあッ、はあっ、はあ……!」

菜摘  「ちょっ…桑田、あんたマジで大丈夫!?」

足元に、血がべっとりついたボールが転がってくる。
鉛筆を握る指は折れ曲がって、白い骨が飛び出していた。

桑田  「はあっ、はあっ!…はあ、はっ…ハアッ…はあっ…」ゼー、ゼー

呼吸ができない。胸が苦しい。酸素を吸っているはずなのに、どんどん苦しくなって行く。
背中をさすられて、何回も名前を呼ばれる。そうしている内に、少しずつ楽になった。
折れていたはずの手が、元に戻っている。足元のボールも消えている。
……さっきのは、幻覚か?

桑田  (ダメだ、怖い……怖い、怖い、怖い、怖い!!!ボールもバットも、全部が怖いっ……!)ガタガタ

菜摘  「すっごい顔色悪いけど……あとで絶対保健室行きなよ?」

桑田  (嫌だ、もう嫌だ!!こんなトコ、もういたくねーよ!……出たい、早く出たい……!!)

オレは叩きつけるように、その一文字を書いた。
この狂った学園から出たい。ただ、その一心で。


学園長 「そうしたら次は、その漢字を口に出して読むんだ」


隣の菜摘がぼそ、と呟く。周りの奴らも同じように読んでた。
……送り仮名ってつけていーのか?んー、でる、しゅつ……あと一コ、なんかあったな……

桑田  「"出(いずる)"?……いって!」

口に出した瞬間、紙はバチンッと弾けて消えた。
痛みが走った右の手首をひっくり返して見る。

桑田  「何だよ、これ……さっきの字だよな?」

その時、ぞくっと嫌な気配がした。ラバーソールの下に、黒い円が浮かぶ。
反射的に立ち上がって、後ろに下がった。円の中から出てきた『何か』は、オレ達を見てよだれを垂らしている。
恐竜だ。昔図鑑で見た肉食恐竜みたいな、三つ目のバケモノがそこにいた。


『全員、起立っ!!さあ、希望を背負った生徒たちよ、闘うんだ!!』


誰かが、「きゃあああ!!」と悲鳴をあげた。パニックになった奴らは一斉に出口を目指して走り出す。


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