42:ヒヤコ ◆XksB4AwhxU
2017/03/13(月) 21:56:25.59 ID:ccxguUJC0
朝日奈 「あの扉さ……人が出てきたのは白いけど、あっちは黒いじゃない?あれ何なのかな…
あっ、今あっちの扉も黒くなった!!」
日向 「多分……"失敗"したってことじゃないのか」
朝日奈 「失敗って……」
日向 「向こうで、龍に負けたって事だ。現に、あの黒い扉からはまだ誰も出てきてない」
朝日奈 「ね、ねえ……七志は?あいつ、すっごい頭いいし、絶対さっさと出てきてると思ったんだけど」
校庭の扉が次々真っ黒になっていくのを見て、朝日奈が恐る恐る聞いてくる。
ソニア 「だ、大丈夫ですよ。私たち、たまたま早く出られただけで……ほら、まだ78期の方々でも
出てきてない方が……」
そう言うソニアの背中側で、葉隠が出てきていた。これで78期のメンバーは霧切以外全員そろったことになる。
朝日奈 「七志……霧切ちゃん……大丈夫かな……あの二人に限って、まさか失敗なんて」
心配そうにぎゅっと胸元をおさえる朝日奈に釣られて、
俺の心臓もどくどくと嫌な鼓動を打ち始めた。第一の事件で倒れていたあいつの死に顔が浮かぶ。
……大丈夫だ。十神なら、きっと。自分に言い聞かせながらも、その不安が消えることはなかった。
――私は生きる。絶対に生きてやるんだ。
九頭龍を殺した時だって、そうだ。あれっ、あいつ下の名前なんて言ったっけ?
思い出せないな……ま、いっか。今さらどうでも……。
佐藤梓は、走りながら思い出していた。
予備学科での鬱屈した日々。九頭龍との因縁。そして――
佐藤 「そうだ、私には力があるんだ……今度こそ本当に、"超高校級の弓道家"になるんだ!!」
不条理なことは、自分でどうにか打開するしかないんだ。
私にはその力があったんだ。だから、私こそ生きるべきなんだ!
龍を狙ううち、いつの間にかずいぶん遠くまで来ていたらしい。
あと少し――あと少しで、出口に……
佐藤 「はあっ、はあ、はあ……あれ?」
そこで、佐藤は違和感に気づいた。
――黒い。ここから白い扉だったはずなのに、そこに鎮座しているのは黒く、血のような生臭い
液体をボタボタとたらす真っ黒な龍だ。
佐藤 「ね、ねえ…何よこれ、なんなの!!?」
龍 『我は人の子に試練を与える白き龍にあらず……人道を踏み外した者に罰を与える黒き龍』
佐藤 「意味分かんないこと言ってないで、早くここから出してよ!!鍵だってここにあるわ!!」
龍 『残り二人の仲間はどうした?』
佐藤 「だって、あんたが言ったんじゃない!!鍵を持った奴だけ出られるって!!」
龍 『戯れの嘘に騙され、仲間を裏切るか……その罪、赦し難し。死をもって償え』
佐藤 「――え?」
逃げる間もなく、黒龍の口からゴオッと炎が吐き出される。
それはみるみるうちに地面を這って、佐藤の体を包み込む。
佐藤 「きゃあああああーーーっっ!!」
そこで、悲鳴を聞きつけた十神と霧切が追いついた。
豚神 「佐藤ッ!?待て、今消して……」バサッ、バサッ
上着を脱いで一生懸命に消そうとするが、もだえ苦しむ佐藤にまとわりつく炎を消すには間に合わない。
数秒も経たないうち、佐藤の体は崩れ落ち、跡形もなく焼き尽くされた。
204Res/358.32 KB
↑[8] 前[4] 次[6]
書[5]
板[3] 1-[1] l20