43:ヒヤコ ◆XksB4AwhxU
2017/03/13(月) 21:57:04.97 ID:ccxguUJC0
霧切 「こんな……こんな、むごいことが……」
黒龍 『その者は大罪を犯した。よって罰を与えた。……お前たちは試練に失敗したのだ。
この扉が開くことは未来永劫ない』
霧切 「……それは、どうかしら」
黒龍 『なに?』
霧切 「この座標……さっきの白の龍がいた扉と同じよ。つまりあなたは、白の龍が姿を変えただけの存在。
だったら、その先にあるのは希望ヶ峰学園でしょう?」
黒龍 『それを知って如何にする。すでにそなたらには――』
豚神 「おおおおおッ!!」ダッ
佐藤の焼け跡から立ち上がり、走り出した十神。黒龍が裁きの炎を吐き出すが、十神はそれを
地面に転がって避けると、扉に手をかける。龍は首をもたげて、十神の顔面に炎を吐き出した。
豚神 「ぐ、っ…これしき、のことで……開けッ……開けぇぇぇ!!!」カッ
"偽"
黒龍 『なっ……やめろ、理を曲げるなど、あってはならな……』シュゥゥゥゥ
十神の文字の力で、黒龍がみるみるうちに、元の白龍に戻る。そこで、佐藤のいたところに落ちていた鍵を
拾った霧切が、急いで扉に差し込む。鍵が回るか回らないかのうち、十神は扉をバターンッと蹴破った。
朝日奈 「!霧切ちゃん、七志!!!」ダッ
豚神 「うう……」ヨロヨロ
朝日奈 「ひどい火傷……罪木ちゃん、お願い!」
罪木 「は、はいっ!」パァァ
全身に大火傷を負い、苦しげな呼吸を繰り返していた十神が、罪木の放つ光で少しずつ楽な表情になる。
やがて目を開けた十神は、自分を心配そうに見下ろす仲間たちを見て「馬鹿者」と笑った。
豚神 「十神白夜が……これくらいで死ぬわけがあるか。俺の心配などいらん……」
朝日奈 「うっ……ううっ…よかったよぉ…二人が生きてて……」
ぐすぐすと泣いている朝日奈に、霧切は自分達が出てきた扉を振り返る。
真っ黒に染まった扉の向こう、白い龍が地面に倒れていた。どうやら他の黒い扉は閉じたままらしい。
霧切 「運がよかっただけよ……彼の文字がなかったら、佐藤さんが裏切った時点で詰んでいたわ」
日向 「七志、本当に大丈夫か?……心配したぞ」
豚神 「だから、お前たちのような愚民が案ずるほど俺は落ちぶれて……いや、今はやめておこう」
豚神 「それより、何か飲み物をくれないか。……龍の炎が思ったより熱かったんでな」フッ
朝日奈 「じゃあ……」むむむ
朝日奈 「はいっ!」
笑顔で差し出した朝日奈の手には、冷たい水が波打つコップ。
朝日奈 「えへへ、ちゃんと文字を使えたの初めてかも」
豚神 「……ありがたい」
受けとった『御曹司』は水を勢いよく飲み干して、今度こそ本当に笑顔になった。
204Res/358.32 KB
↑[8] 前[4] 次[6]
書[5]
板[3] 1-[1] l20