39:ヒヤコ ◆XksB4AwhxU
2017/03/13(月) 21:54:50.78 ID:ccxguUJC0
豚神 「力か、知恵……霧切、この蝕について基本データは出せるか?」
霧切 「待って、トレースが……終わったわ。この蝕は"龍(りゅう)"タイプは"隔離型"とあるわ。
前の"始"が固定型。出現する日が決まっている蝕だったみたいよ」
豚神 「学園から異空間へ転送される蝕か……発生の条件が分かればいいのだが。どうやら
チーム分けもランダムのようだ。まずはここから脱出するのが最優先か」
佐藤 「あの……私にも何か、できることありますか?」
豚神 「焦るな。まずは敵の弱点を探るぞ」ペタッ
"偽(いつわり)"
扉の龍に手をついた十神は、目をつぶって集中する。『偽』の字は、人が象を手なずける象形文字だ。
そこから転じて『ありのままの姿に戻す』という意味を持つ。彼の手の下で、
龍はみるみるうちに透けて、中にぼんやりと『鍵』の形を出した。
豚神 「見えたな。尾に近い下腹のあたりだ」
霧切 「なら、今度は佐藤さんの出番ね。十神くん、外へ誘い出してちょうだい」
豚神 「了解した!」ドカッ
扉を勢いよく蹴った十神に、龍が『力か…よかろう!』と応える。外へ這い出た龍を、
きりり…と弓を引き絞った佐藤が狙う。
佐藤 「はあっ!!」バシュッ
ズドン!!
佐藤 「外したっ……もう一回!!」バシュッ
続けざまに二、三発撃つと、さすがの龍も失速した。そして、四発目でとうとう鍵をかすめる。
空中を落ちてくる鍵を、佐藤は走りよってキャッチした。
豚神 「よくやったぞ、そのまま……」ドスッ 「……あ?」ドクドク
霧切 「佐藤さん、あなた何を――っ!?」グサッ
佐藤 「邪魔しないで下さいよ……さんざん予備学科を足蹴にしてきたあなた達本科を、
今度は私が踏み台にしてあげるんですから」
くるっと背を向けた佐藤に、足を撃ちぬかれた霧切が「待ちなさい!」と叫ぶ。
しかし、佐藤は振り返ることはなかった。腹を刺された十神も、起き上がろうとして
痛みに悲鳴をあげ、再び地面へ突っ伏す。
豚神 「くそ……!!なぜだ、なぜなんだ……!!予備学科も、本科も、この蝕では
壁などないはずなのに!…ぐっ…」ボタボタ
霧切 「それより、まずいことになったわ……鍵はまだ、佐藤さんの手に」
豚神 「追いかけるぞ…」
霧切 「でも、その出血じゃ……「傷など、おさえていればいい!!お前だけでも生還しろ!!」
十神はハンカチを引き裂いて、傷口に押し当てる。
なんとか立ち上がる十神を見た霧切は「……似ているのは、見た目だけね」と小さく呟いた。
その頃。日向、石丸、安広チームは……。
安広 「あら、今不思議な声がしましたわ。"此処から出られるのは二人だけ"ですって」
石丸 「なっ…!!」ガーン
安広 「おおかた、嘘でしょうけど。この前の始もそうでしたけど、試練は常に、生き延びる道があります。
一人の犠牲も出さずに脱出することは可能でしょう?でも、蝕の方でも考えているのですね。
わざわざチームの一人にだけ嘘を吹き込むなど、惑わそうという意図が見え見えで、
張り合いがありませんわ」
石丸 「そういう問題かね!!?」
日向 (やれやれ…こいつを敵に回すのは勘弁したいな)ハァ…
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