38:ヒヤコ ◆XksB4AwhxU
2017/03/13(月) 21:53:53.82 ID:ccxguUJC0
田中 「戯言はそのくらいにして……向こうにある扉はどうする?」
朝日奈 「へっ、扉!!?」
言われてみると、道の先にたしかに、龍が刻印された白い扉があった。
田中 「とりあえず、壊すか」カッ
"獣(けもの)"
言うなり田中は文字を発動させ、両手に獣の皮がついた鉤爪をまとう。
朝日奈 「わー!!やめて、せめてもうちょっと考えて……」
ソニア 「当たって砕けろという奴ですね!!」カッ
"生(せい)"
文字を発動させたソニアは、田中のスカーフをつかんで「えいっ!」と意識を集中させる。
その手から青い光が流れこんで、田中の鉤爪がぼんやりと光をまとった。
朝日奈 「ええと……ソニアちゃんは、補助系なの?」
ソニア 「私の文字は、人の能力を強化することができるようなのです。朝日奈さんも行きますか?」
朝日奈 「あー…ごめん、私まだ上手く扱えないからさ。今度頼むね」
その時、扉の龍が『ギョロッ』と目を動かし、口を開く。
龍 『我は"龍"……この試練を生き延びたくば、我を倒し、この中にある鍵を手に入れよ。
そなたらの持つ"力"か、"知恵"か……それにて道を示』
田中 「くどい」ザクッ
龍の話が終わる前に、田中の鉤爪が扉を引き裂く。
朝日奈 「ちっ…ちょっと!!まだ話が途中だったじゃない!!つーか、扉から血っぽいものが
垂れて……」
どくどくと血が垂れる白い扉を指さして、朝日奈が怒鳴る。
龍 『"力"を選ぶか……よかろう。では、闘いを始めるぞ!!』ズルッ
扉からズズズ…と抜け出した龍が、空へ舞い上がる。それをぽかんと見送った朝日奈は
「追いかけなきゃ!」と走り出そうとした。
田中 「いや…その必要はなさそうだ」
朝日奈 「へ?」
ソニア 「向こうから来てくださるようですよ?」
龍は空中でぐるっと旋回し、三人目がけて勢いよく下降する。口ががぱっと開いて、牙がむき出しになった。
それに朝日奈が悲鳴をあげたのが先か、田中が地面を蹴ったのが先かは分からなかった。
同時刻、別の場所では――頭脳派チームができあがっていた。
十神、霧切、さらに……大弓を構えた予備学科の『佐藤梓』だ。クラスメイトからは揶揄を込めて
『超高校級の弓道家』などと呼ばれているが、彼女自身にそこまで弓の才能があるわけではない。
佐藤 (いやだなあ…この十神って人、あいつのお兄ちゃんと同じ77期だもん。
気まずいったらありゃしないよ。まあ、何も言ってこないだけいいけどさ)
彼女は九頭龍の妹とひと悶着起こした過去がある。
この学校で目覚めて蝕が始まってから忘れていたが、十神とチームになったことで図らずも
それを再確認する羽目になっていた。
佐藤 (まあ、いいもんね。さっき龍が言ってたもん。"ここから出られるのは、鍵を持った人間だけ"……
私にしか聞こえてなかったみたいだし、使わせてもらうわよ)
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