37:ヒヤコ ◆XksB4AwhxU
2017/03/13(月) 21:52:39.38 ID:ccxguUJC0
??? 「むっ、君は確か……予備学科の日向くんではなかったか?」
日向 「あ、ああ…日向創だ。お前らはたしか、78期の……」
名前が出てこない。本科なら有名人のはずなんだが、
俺の記憶力ではファイルにあった16人の顔を覚えるのが限界だった。
安広 「ともかく、これでやっと話が出来ますわね。私はセ……安広多恵子と申します。
人呼んで"超高校級のギャンブラー"。以後、お見知りおきを」
ドレスの裾をつまんで優雅なお辞儀をする安広に、俺もつられてきれいなお辞儀を返す。
石丸 「"超高校級の風紀委員"石丸清多夏だ!本来なら77期は先輩に当たるのだが、苗木くんが
"上下関係を作らないほうがいい"と言うのでな、……不快ではないか?」
日向 「いや、それでいい。どう見ても同い年だしな」
日向 (……俺たちに、気を遣われる権利なんか本当はない)
安広 「――で、ここはどこですの?」
彼女の疑問点に答えるため、俺はあたりを見回した。木と草むらしか見えない。
つまりは森……の中の、ぽっかりと開けた場所。
視線を上にやると、晴れ渡った空に……数字が五つほど並んだスロットのようなものが浮かんでいる。
今の数字は『伍伍参弐壱』。何かのパスワードか?
石丸 「少なくとも、希望ヶ峰学園でないことは確かだ。おそらく"蝕"の一種なのだろうが、霧切くんがいない以上、答えは望めないな」
日向 「あのスロットは……」
安広 「制限時間でしょう。先ほどから少しずつ、一番右の数字が減っています。
それに、"試練"にルールはつきものですから」
石丸 「とにかく、これが蝕だというなら敵がいるかもしれないのだが……さっきから、やけに静かだと
思わないか?もしかすると、"始"と同じような方法ではクリア出来ないのかもしれないな」
日向 「なら、とにかく歩いてみよう。向こうに道がある」
安広 「罠かもしれませんわよ?」
日向 「先へ進まないと、どうしようもないだろ」
そう言って歩き出した俺に、安広と石丸が少し離れてついて来る。
おそらくまだ打ち解けていない所為なんだろうけど……『警戒されてるんじゃないか』なんて
考えちまうのは、悲しいな。
一方その頃。
朝日奈 「うう……ここ、どこ?なんか森みたいな所だけど……おーい、さくらちゃーん!
なえぎー!!……ひなたー!!ななしー!!……つみきちゃーん!いたら返事してー!!」
朝日奈 「……うう」
ガサガサ
朝日奈 「うひゃあ!!!?」ビクーン
??? 「ふっ……我が覇王の気に中てられたか。些か退屈していたところだ。草臥れ果て、
彷徨い続ける運命を選択する前に、我が眷属が道を示そう」ザッ
朝日奈 (なんかヤバい人きたーーー!!!)
??? 「もう、田中さん。彼女が怯えているじゃありませんか」
朝日奈 (増えたー!!それに意外と普通の名前だったーー!!)
??? 「制圧せし氷の魔王……畜生道のやしない主……人の子は俺をどうとでも、好きなように呼ぶ。
我が名は田中眼陀夢っ!!この愚かなる旋回舞踏の夢に生きる計算表の一つの点だ!!」
朝日奈 「ええと……」
??? 「そなたの真名は、"特異点"より聞いている。徒花のウンディーネよ、永久に膨張する宇宙卵たる
お前たちと我らの間に降る雨はない」
??? 「"超高校級の飼育委員"田中眼陀夢です。プログラムを脱出した77期の一人です。朝日奈さん、
希望を生み出すあなた達78期と77期の間に壁はないので、どうか気を遣わないでください……
ふふ、田中さんはいつもこうなんです。分からなかったら聞いてくださいね」
朝日奈 「は、はあ……」
??? 「申し遅れました、私は"超高校級の王女"ソニア・ネヴァーマインドと申します。
よきにはからってくださいな」
朝日奈 (なんか……悪い人たちじゃないっぽいんだけど……疲れるなあ。蝕始まったばっかなのに)
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