日向「神蝕……?」
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31:ヒヤコ ◆XksB4AwhxU
2017/03/12(日) 19:16:08.01 ID:uk5v1yXc0
モノクマ『絶望が息づき始めた頃はね……人間たちは手を取り合ってそれに対抗しようとしたんだ。
     イスラム教徒もキリスト教徒も、黒人も白人も、今まで争ってた奴らみんなで。
     でも、それが段々絶望に侵食されて……最後はもう、しっちゃかめっちゃかさ』

モノクマ『だけど、いわゆる"戦争"も"犯罪"も、統計の上ではゼロになった。これって、形を変えた世界平和かもね!
     弱者だった側から見れば、君たち"絶望"こそが"希望"だったんだからさ!
     空き地に行っていじめっ子のリサイタルを聞かなくていい!
     オッサン上司にイビられながら誰にでもできるような仕事をしなくていい!
     クルアーンとかいう本のせいで殺されなくていい!……君たちは世界の"歪"を正したんだからさ』

モノクマ『だから君たちは全然気に病む必要なんてないんだ!ドンウォーリー、ビーハッピー!
     蝕を生き残って、サクラの季節を迎えよう!ほんじゃ、ばいばいっ!』

言いたいことだけ言って、モノクマはぴょーんっと何処かへ消えた。
残された俺は電子手帳を握りしめて、考える。

日向  「……なんで、モノクマなんかの言葉を素直に聞いてんだ、俺は」

____________

翌日。

日向  「……」シャコシャコ

シャワールームで歯磨きをしている俺に、ドアを『コンコン』と叩く音が聞こえた。
あわてて出ると、ソウルフレンド左右田が「よお…」と気まずい表情をしている。

左右田 「あの、さ…一緒に食堂行かねーか?なんつーか……一人でいるのが心細いっつーか……」

日向  「分かった、ちょっと待ってろ」

パジャマから着替える間も、左右田はそわそわしている。その目が赤い事に気づいて、
俺は自分の神経の図太さに感謝した。夢も見ないで深い眠りについた俺と違って、小心者の
こいつは一晩中『始』の悪夢にうなされていたらしい。

食堂に行くと、すでに何人か起きてきて、朝食をかきこんでいた。

澪田  「和一ちゃん、創ちゃん、おはうぃーっす!!」

日向  「おはよう。…お前、朝から元気だな」

暗に「怖くないのか?」と聞いたのだが。澪田は「ギターかき鳴らすだけでいいんで、
唯吹的には問題ナッシング!」と二の腕の『音』を見せる。

澪田  「今はとにかく生き残ることを考えるっすよ。反省も後悔も、生きてないとできないっすからね」

日向  「誠実だな。左右田、ついでに俺の分の麦茶も頼んだ」ガタッ

豚神  「なるほど、"偽"にはこんなに意味があるのか……ただ"欺く"だけかと思ったが、
     "化ける"や"習慣を変える"というような意味もあるらしい。奥が深いな」ペラッ

そんな澪田の隣で食べながら漢字辞典を引いていた十神は、メモ翌用紙に手早く字義をメモすると、
待っていた他の生徒に「助かったぞ」と渡した。

左右田 「国語辞典とか、漢和辞典が図書室にあったんだけどよ…数が足んねーからああやって、
     順番に回し読みしてんだ。パッと見意味わかんねー文字でも、意外な意味があったり
     すっからな……ほい日向、麦茶」コトン

まるで爆弾ゲームのごとく、生徒たちの間を回される辞典。

日向  (俺も念のために後で調べといた方がいいんだろうか?)

左右田 「なあ…今日って、"アレ"来んのかな……」ソワソワ

豚神  「いや、おそらく今日はないだろう」

左右田 「んな希望論は聞いてねーんだよ!俺なんてメカニックだから"機"なんて分かりやすい
     漢字書いたのに、全ッ然なんも出ねーでよぉー!昨日は時間内ずっと逃げ回ってたんだぞ!」

どうやら十神には、「今日は蝕がない」という確信があるらしい。
その答えは、朝食の後に行った教室で分かった。

生徒A 「大丈夫……私は大丈夫……生き残れる……生きる生きる生きる」ブツブツブツ

生徒B 「うっ、ううっ…ただ希望ヶ峰に憧れてただけだっつーのに……なんでこんな」グスッ

予備学科はAからGまでの7クラスに分けられ、本科は78期、77期それぞれが教室を与えられた。
廊下を歩く間も、文字の入った所をおさえてなにやら呟いている女子やら、
もう絶望し切って泣いている男子やらとすれ違う。そういえば、九頭龍の妹も蘇っているのか?
本人から特に何も言ってこないなら、触れないほうがよさそうだ。


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