日向「神蝕……?」
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19:ヒヤコ ◆XksB4AwhxU
2017/03/10(金) 12:51:33.67 ID:lcFU0T5b0
その言葉を最後に、学園長は美しいお辞儀をして、舞台袖へ引っこんだ。
残された生徒たちも困惑の表情で顔を見合わせていたが、本科と同じ空間にいるという
居心地の悪さ、血なまぐさい記憶に耐え切れなくなったのか……
一人、また一人と体育館を出て行く。

朝日奈 「罪木ちゃん、さっきはほんとにありがとねー!罪木ちゃんは命の恩人だよ!」ブンブン

罪木  「えっ?えっ?えぇ……?なんでそんなに感謝してるんですかぁ……これを盾に
     何をさせられるんですかぁ……?」オロオロ

朝日奈 「あ、罪木ちゃんのほうは知らないんだっけ。朝日奈葵!"超高校級のスイマー"だよ!」

握りしめた手をブンブンと上下に振られて、罪木はおろおろしている。
一応罪木のほうが先輩にあたるはずだが……まあ、罪木に友達が増えるならそれでいい。

朝日奈 「で、さ。ずっと考えてたんだけど…十神はなんて呼べばいいのかな。
     あっ、太ってる方の十神ね。さっきちらっと聞いたんだけど……あいつ、
     名前ないんでしょ?だけどこのまんまじゃややこしいし……権兵衛じゃ可哀想だし」

そんなことを真剣に考えてくれるのか。

朝日奈 「だから、十神がいる時は"七志 太郎(ななし たろう)"なんてどうかな?」

豚神  「七志か…初めて食した時、肉厚ながらしっとりと柔らかいチャーシューには感動したものだ……
     豚骨系チェーン店では三本指に入る。いいぞ、俺は今日から七志太郎だ」

朝日奈 「あははっ、名付け親になっちゃった!よろしくね、七志!」

日向  「はは…順応性が高いな二人とも」

普通『詐欺師』なんて聞いたらもっと警戒しないか?
そんな俺の思考をよそに、苗木は78期生を集めていた。

苗木  「あれっ、大神さんは?」キョロキョロ

朝日奈 「さくらちゃん、まだ来ないの?……どこ行っちゃったんだろ」

霧切  「安心して、西地区で彼女らしき座標を探知したわ。
     私たちが体育館にいることも知らないかもしれないわね。責任感の強い大神さんだもの。
     きっと予備学科生たちを落ち着かせるのに忙しいんじゃないかしら?後で行ってみましょう」

大神……ドッキリハウスにあった銅像のモデルか。
"索"で探した霧切は「彼女が死ぬということはないわ」と確信しているようだった。

葉隠  「つーか、さっそく文字使いこなしてるとかすげえ……俺なんか発動したらあとは自動だから
     わけわかんねーままだべ」

苗木  「葉隠クンは"予"だっけ?」

葉隠  「的中率はまだ計算できてねーけど、3割は超えてるはずだべ!ただ、ビジョンが次々頭ん中に
     流れこんでくっから、全然便利じゃねーよ……この文字で大儲けしようって思ったのに」ハァ…

十神  「ふん……安直だな」

苗木  「あ、十神クンはなんの文字……ごめん、なんでもない。舞園さん…大丈夫?」

まだ体を抱えて小さく震えている舞園に向き直った苗木は、落ち着かせるように視線を合わせて聞く。
舞園はこっくりとうなずいて、「怖いです」とだけ答えた。

苗木  「無理もないよ…あんな"怖いこと"があって、今度は化け物が出てくるなんて……
     でも、大丈夫だよ。今度こそ僕が舞園さんを守るから。絶対だよ」

舞園  「……桑田君、行っちゃいましたね」

苗木  「……」

舞園  「やっぱり…怒ってるんでしょうか」

苗木  「今は、生き残る事だけを考えよう。少なくとも僕は、また舞園さんに会えてすっごく嬉しいよ」

不二咲 「あ…待って!ねえ、大和田君!僕、大和田君に話が……ああ、行っちゃった」

石丸  「そういえば、僕達を[ピーーー]計画をたてたクロはセレスくんだと聞いたが……彼女は大丈夫だろうか。
     蝕の最中も見なかった……まさか死んだりはしていないと思いたいが……」

石丸  「山田くんもいないな……僕も複雑な心境だが、少なくとも彼らを恨んではいない。
     ただ、"超高校級の風紀委員"を名乗りながら、彼らの不安を取り除いてやれなかったことが
     悔やまれるだけだ。あの極限状況だ。誰もクロとなった者を責められないだろう……全ては
     "運が悪かった"とでも言うしかない。しかしそれを伝えるには、彼らの心の鎧が硬すぎる」

不二咲 「僕ねえ…大和田君にごめんなさいって言いたいんだぁ……知ってるような口きいて、
     傷つけて、死なせることになって、ごめんねって……あんな事になっちゃったけど…
     バカって言われるかもしれないけど…それでも僕、大和田君とまたお友達になりたいんだ」

苗木  「石丸クン、不二咲クン……今は落ちこんでいる時じゃないんだ……こんな時
     だからこそ、皆で力を合わせないと。その前に、紹介したい人たちがいるんだ」


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