167: ◆XksB4AwhxU[saga]
2017/05/01(月) 17:56:17.13 ID:Nli3LyVz0
【食堂】
さすがの西園寺も、もう一回あの禍々しい祭壇を作る気にはなれなかったらしい。
真っ赤に泣き腫らした目で、罪木が背中をさするのも振り払わない。
田中 「人の悲しみには、波がある。想い出は静けさの中で蘇り、遺された者をさいなむ。
西園寺は今、その時なのだろう」
ソニア 「私たちに何かできることは……」
田中 「強いて言うなら、生きることだ。……いつ、誰がそうなるとも限らないということを、
心に刻みつけることだ」
田中の言葉は、集まった仲間たちの胸の奥底へ沈みこむ。
みんな、ふとした拍子に一人分空いた席を見ていた。
豚神 「小泉が死に、花村と辺古山が負傷した……今回の蝕は桁違いの強さだな」
日向 「昨日より蝕の始まる時間が早かった。敵の数も多かった。……ということは、
弱点となる文字で致命傷を与えない限り、日々パワーアップして襲いかかってくる」
左右田 「こいつに全滅させられた年は何度もあっからなァ」
日向 「左右田?お前、何か知ってるのか」
左右田 「いや……話すと長くなっから、今はしねえ。まずはこの"火"をどうにかしねーとな」
日向 「それなんだが……"火"の弱点は、"水"。つまり、78期の朝日奈葵が鍵なんだ」
西園寺 「だったらっ…だったら、すぐその女に」
日向 「いや……朝日奈は"始"の時に文字の発動を一回失敗しているんだ。
それからあとは、せいぜい水の入ったコップを出す程度で……大がかりな水を出すのが
恐ろしいんだと思う」
罪木 「"火"の一日目でも……逃げてしまったそうなんです」
西園寺 「何それ……そいつがちゃんと闘えば、小泉おねぇが死なないで済んだのにっ……!」
豚神 「……日向、行くぞ。まずは話をしてみよう」ガタッ
日向 「ああ。対抗できる文字は朝日奈しかいないからな」ガタッ
【朝日奈の個室】
コンコン…
苗木 「朝日奈さん、僕だよ。苗木だよ。話がしたいんだ。明日の蝕のことなんだけど……」
ギイッ…
朝日奈 「……なに?」
苗木 「あのね、日向クンたちが食堂で集まって話しているのを聞いたんだけど、"火"を倒すためには
朝日奈さんの文字が必要なんだ。明日は僕たちと一緒に来ない?」
朝日奈 「……私、一回逃げたんだよ。今さらどうやって……」
霧切 「私たちがあなたを守るわ。みんなで蝕を倒しましょう」
苗木 「そうだよ、僕たちがいるよ!怖くなんかないよ、あんな蝕、朝日奈さんの文字なら一発じゃないか!」
204Res/358.32 KB
↑[8] 前[4] 次[6]
書[5]
板[3] 1-[1] l20