121:ヒヤコ ◆XksB4AwhxU[saga]
2017/04/05(水) 12:23:41.37 ID:pssxomK80
バッ!!
罪木 「ぐ、かはっ…!」ボタボタ
西園寺 「ゲロブタ…あんた、何やって……」
すんでのところで割って入った罪木の下敷きになって、西園寺には傷一つつかなかった。
代わりに背中で斬撃を受けた罪木が、口からこぼれる血を手で受け止めている。
罪木 「こ、こで……死ん、だら……西園寺、さんの、体……」ゴフッ
罪木 「さ、さいおん…じ、さんの……着物、は……たかい、から……汚すわけにはっ……」ボタボタ
西園寺 「な……こんな時に、何言ってるのよ……ほんとに、バカなんじゃないの、あんたっ…!」
"癒(いやし)"
罪木の体から光が放たれた。切り裂かれたブレザーの下、えぐれた肉が少しずつ盛り上がって、血が止まる。
傷は一分ほどで、赤い痣を残して消え去った。
女 『神にも似た力よの。……どれ、気が変わった。よいものを見せてもろうた礼をやる。ちこう』かぱっ
西園寺 「げえっ!気持ち悪……」
霧切 「……行きましょう」
西園寺 「えっ?で、でも」
霧切 「あの女の体内に出口があるわ。挑発に乗らずに黙っていれば、ほんの少し悪夢を見るだけで試練を
突破できる。簡単な蝕だったのよ」
西園寺 「…………」
霧切 「あとはまっすぐ歩くだけ。……先に出て待っているわ」
霧切は背中を向けて、女のぱっくりと割れた腹の中に飛びこむ。
罪木 「じ、じゃあ私も……行きますねぇ……」ぴょんっ
一人残された西園寺は、「きもいきもいきもい」と呟きながら、目をつぶって女の方へ歩く。
西園寺 「…………何よ。ありがとうなんて、言わないんだからね」
西園寺 「ありがとう、なんて……」
西園寺 「……今さら、言えるわけないじゃん……あたしみたいな奴が」
__________
日向 「……ん、終わった……のか?」むくっ
起き上がると、そこは元の広場だった。他にも何人か生徒が倒れている。ちゃんと胸が上下しているのに
安心した。たぶん、この蝕では俺たちの意識だけが転送されていたんだろうな。
日向 「"夢"か。その名のとおりってわけだな」
ベンチに座ると、手の中に青い欠片が落ちてくる。今回はどんな記憶が入っているのか。
前回は、江ノ島が死んだ後に絶望の残党たちを集めて演説しているカムクラが見えたが……
日向 「今回はスプラッターのない記憶がいいな……」グッ
ぱあっと光が満ちて。
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