107:ヒヤコ ◆XksB4AwhxU
2017/04/01(土) 10:41:31.13 ID:fPDAiR9v0
苗木 「す、すごいね……腐川さん。さすが"文学少女"だね」
腐川 「な、何よ……あんたに褒められたって、白夜様に比べたら一ミリの価値もないんだから……」ポッ
苗木 「褒めてるってことが分かってもらえただけで嬉しいよ(腐川さんも少しずつ進歩してるんだなあ)
……あぶなッ!?」ビュンッ
日向 「向こうは団扇の分リーチがある……飛び道具の方がよさそうだな」カッ
"変(へん)"
俺はポケットティッシュを拳銃に変化させると、両手に構えて鬼の頭を狙う。
パンッ!!
反動で手が持ち上がったのを、狛枝が受け止めて「跳弾には気をつけてね」とアドバイスしてきた。
くそ、九頭龍に撃ち方を習っておくべきだった!
狛枝 「跳弾は素人だと避けづらいし……二人の幸運を操作して、回避率を上げておくよ」カッ
"運(うん)"
罪木 「あ、あれ?体があったかいですぅ……」ポワポワ
日向 「それに、心なしか体が軽くなったような…危ないっ!!」ビュッ
鬼の団扇が、俺の耳ギリギリのところをかすめる。攻撃を危ない所で避けた俺は、そのままカチャッと銃を構えて、
そいつの脳天に弾丸を撃ちこんだ。回避からの見事な反撃……これが狛枝の文字か。
日向 「そうだ、苗木に武器をやっとくか」ギュッ
俺はポケットから鉛筆を取り出して握りこむ。パアッと光が出て、鉛筆は細身の槍に変わった。
日向 「苗木、受けとれ!!」ブンッ 苗木 「!?」パシンッ 日向 「それをお前の武器にしろ!」
苗木 「……ありがとう、日向クン」
槍を受けとった苗木は、お礼を言って鬼を薙ぎ払う……と、次の瞬間又三郎の風に吹き飛ばされた。
廊下をゴロゴロと転がって、消火器でしたたか背中を打った苗木に、腐川の怒声が落ちる。
腐川 「ドジ、ちゃんと下がってろって言ったじゃない!!」
苗木 「あ、あの……せめて"大丈夫?"くらいは……言って、ほしいかな」ゴホゴホ
……あいつは本当に『超高校級の幸運』なのか。
そうこうしているうちに、蝕の時間が終わった。陽気に踊っていた鬼達の動きが止まって、すうっと消えていく。
【『祭』
死亡者数:56名
生存者数:1524名
総生徒数:1524名 】
罪木 「わ、私は保健室に行ってますねぇ……「ゆっくり歩けよ。血で足が滑るぞ」……は、はいぃっ!」トテトテ
狛枝 「回避率UPの効果はまだあるから、保健室に着くまで転ぶことはなさそうだね」
日向 「……この際ハッキリさせておこうか。狛枝、お前は蝕についてどう思ってるんだ?」
狛枝 「どう、って……希望をより輝かせるための試練だと思ってるよ。そういう意味では学園長と近い考え
かもしれないね。でも……正直、僕の信念は少し揺らぎかけているんだ。答えが出るまではまだかかり
そうな気がするよ」
日向 「そうか……」
狛枝 「安心してよ。生きるも死ぬも君達次第なんだから。僕はゆっくりとその行方を見守らせてもらうよ」スタスタ
日向 (……あいつが歪んだ理由も俺は知っていて、だけど認めることができなかった。それはただ、
自分達に危害が加わると思っていたからで)
日向 (それがないと知ってやっとあいつを仲間として認める気になっている。俺は、やっぱり不完全なんだな)
日向 (……やめよう。まずは仲間の無事を確認するんだ)
そう思い直した俺の耳に、「きゃあああ!?」という悲鳴が届いた。
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