メイド「私の嫌いな貴方様」
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91: ◆TEm9zd/GaE[sage saga]
2018/11/02(金) 09:23:30.59 ID:rlpAyYI4O
恵まれてる。

そうはいっても、この退屈な時間は如何ともし難い。

しいて言うなら、この時間――登校にかかる時間は恵まれていない。


いや、私が望んで片道三時間の高校を選んだのだが……。



演劇部に入部した翌日。

当然の様に朝になり、私は当たり前のように登校し、言うまでもなく……というか、言うのも面倒くさいくらい長い通学の途中。

時間つぶしの文庫本がその甘ったるい結末を語り終えてから電車は三駅ほど経過した。



満員電車の中、席に座れているのは幸い。

人にもまれながら立っているのは大変だからね。


ふと、『幸い』という字と、『辛い』という字が似ていると思った。

棒が一本あるかどうかの紙一重だ。

……案外、辛いことも幸せなことも似ているのかもしれない。

そうなると恵まれている新生活は、幸せなのかどうなのか。


そんなくだらなさに輪をかけた些末事を思いながらボケっとしていると、電車は停車しドアを開いた。


多少人は下りたが、それでもやっぱり満員は満員だ。



大変なことで。

席に座れし者の余裕の目で見ていると、ふと視界にある人物が目に入った。



ギャル「あっ」



女「……」



目が合った。

どこかで見たような顔だ。


ああ、思い出した。

よく同じ電車に乗り合わせる人だ。昨日も一昨日も見た。



ギャル「やあ、また会ったね」



女「はあ……」



ギャルは人をかき分け無理矢理にこちらにやってくる。

え、ちょっと、なんでこいつこんなにフレンドリーなの?


そこのサラリーマンさんごめんね。その子無理矢理こっちにくるのうざいよね。

いかにも迷惑そうな顔に私は申し訳なくなっているというのに、目の前のギャルにはそんなことどこ吹く風といったようで。


すぐに私の前にやってきた。


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