メイド「私の嫌いな貴方様」
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89: ◆TEm9zd/GaE[sage saga]
2018/11/02(金) 09:21:12.66 ID:rlpAyYI4O
というわけで私はその車に乗っている。

乗って私の家に向かっている。


なかなかにビビる。

だってもし車の中で何かをこぼしたり、汚してしまったりしたらと思うと。


慎重になって当たり前。


となりにはお嬢様が座っている。

彼女は彼女で、私に話しかけようとしているのか妙にそわそわしている。


女「はう……」


思わずため息が漏れた。



お嬢様「ど、どうかした? やっ、やっぱり、一緒に帰りたくなかった?」



女「ううん。ただちょっと気疲れ……? 空回り? とにかく疲れちゃって」



お姉ちゃんに想いを伝えようとしてから回ったり、友達に振り回されたりと、

濃い一日だった。



女「…………」


ここ最近のことを思い返すと自分の感情に振り回されている気がする。


悪いことではないのだろうが、疲れてしまう。



窓から外を見る。

高速に移り変わってゆく風景が網膜を焼く。

知らない道路に街並み。

それらはいくら見ても主張してこないけれど、私の横にいる彼女は違う。


さっきから私に話しかけたいのかうずうずちらちらとせわしない少女が私の隣にいる。


私は心のうちでため息をつき、お嬢様に今日の学校はどうだったか聞くのだった。

嬉々として話しかけてくるお嬢様を尻目に、爺やさんが柔らかく綻んだのを見逃さなかった。







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