75: ◆TEm9zd/GaE[sage saga]
2018/01/13(土) 15:36:50.71 ID:RsMIh/cb0
お姫様に促されたのでさっそく舞台の上に上がる。
誰かある! お呼ばれいただき参上した!
などと武士ばりばりな馬鹿なことを言う前に、向こうのほうから声をかけてきた。
声をかけてきた人は、まさに私が求めていた人で……
女教師「あ、女ちゃん! 来てくれたんだ! ……おっとお嬢様さんも……二人はもう仲良くなったのかな」
歓迎されたことを嬉しく思い、
お嬢様よりも先に私のことを見つけてくれたことに優越感を覚え、
お姉ちゃんの質問に答えるように、可愛く見えるよう笑顔を浮かばせて頷いた。
女「うん、仲いいよ――。一緒に演劇部入ろうってくらいに」
お嬢様「はっ、はい! ――――……とっ……ともだちっですっ!!」
友達って言うのに、やけに詰まったな。やめろよ。言わせてるみたいに聞こえるだろ。
私がボッチを脅して友達料請求してるやつみたいになるだろ。
……冗談。きっと今までまともに交友関係を築いたことがないから、友達といっていいか悩んだのだろう。
いいよ。私とあなたは友達だよ。もっと自信をもって喧伝なさい。
後になって、えっ? 別にあなたとは友達じゃないよ、なんて裏切るつもりは無いから。一緒にお昼ご飯食べた仲でしょう。
女教師「まあまあ、お嬢様さん、ぜひぜひ女ちゃんと仲良くしてあげてね」
お嬢様「はい! お、女とはも、もっと……仲良くなりたいと、お、思っていますっ!」
女教師「あらあら」
女「――――」
クスクスと笑うお姉ちゃんに思わずぽうっと見惚れにやけてしまう。
天使かよ。ガヴリールはここに降臨しなすった。ははあ。……平伏してたら、寵愛くれないかな……?
あれ……? ガヴリールってどんな天使だっけ? まあいいや。私が知っているってことはすごい天使なんだろう。
お姉ちゃんはすごい。すごく天使。それでいいじゃないか。
お姫様「先生、そろそろ時間です。これ以上待っても、もう一年来ないっぽいですし始めちゃいましょう」
女教師「ん、そうだね。じゃあ始めちゃおっか」
女教師「女ちゃんたち――ほかに三人……だったけ? 一年生いるから、その子たちと固まってくれる」
お姉ちゃんの言葉に正気に返る。天使の言葉は絶対。天使のお言葉は絶対。
舞台の右袖にちらちらとこちらを見てくる数名。見るとタイの色が私たちと同じだった。
つまり、私たちと同じ学年ということ。彼女たちが一年生か。
お嬢様をつれてその集団の中に紛れる。
演劇部の始まりで、それは同時に、お姉ちゃん食べちゃおう作戦の始まりだった。
でーんでーんでーんでーんでどでん。
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