メイド「私の嫌いな貴方様」
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66: ◆TEm9zd/GaE[sage saga]
2017/05/20(土) 06:05:18.10 ID:dpiH9rMA0


るんるん気分で学校へと。
だんだんと同じ制服を着た人たちが目につき始める。


ああ、こういうところでも自分が学校に近づいてるんだと実感する。もう少しもう少し……。

ふふんそこの道行く無味乾燥な学生諸君! 君たちはこんなにも心躍る思いをしているかい。私はしている。うらやましかろう?
恋、というのはこんなにも素晴らしいものなのか。好きな人に会えると思うだけで零れ落ちそうなくらい感情が溢れかえってくる。

恋をすると人は変わるなんて言うけれど、恋心を自覚した私にも当て張るのかしらん。


そんな後になって思えば死にたくなるようなタガの外れた心理状態は、校門前にわらわらと湧いている制服を着た野次馬生徒によって収まり、そして野次馬の視線をかっさらっている黒塗りの車を見て完璧になりを潜めた。

私はあの車を知っている。というか昨日見た。もっといえばその車に乗ったかもしれなかった。

思わずびびってしまう程現実離れした光景。私知ってる! 漫画とかで見るやつだ。

人の多さと黒塗りの威圧に気後れして学校に入るのを戸惑っていると――


お嬢様「あっ! 女、おはよう!」


彼女は窓から私を見つけると車から出て、一直線に私のほうへとやってきた。


女「おはよう……お嬢様……」


ひきつった顔で挨拶を返す。思考は冷静に。
もともと日夜浮ついているような愉快な性分じゃない。簡単なことで正気に戻る。今回それのきっかけがお嬢様だった。

女「あの……お嬢様、とりあえず教室行こうか」


住む世界の違う人が目の前にいる。
違う世界が目の前にあるって、結構焦る。

だというのに違う世界の住人であるところのお嬢様は、色々な感情が四方八方飛び散って持て余している私に何ら一切遠慮なく親しみを向けてきた。

そのことで野次馬の視線が私にも向けられる。
視線と一緒に私にも向けられる奇異の念も耳にした。

――あのお金持ちそうな人と友達なのかしら。
――あの二人と一緒のクラスだけど仲良さそうだったよ。
――そういえば遅刻していたわよね、流石ね今の内から重役出勤ですか。


……勘弁してくれ。





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