メイド「私の嫌いな貴方様」
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61: ◆TEm9zd/GaE[sage saga]
2017/04/04(火) 15:10:31.87 ID:3qoU9Sd70

――変わっちゃてたら? それは誰が?

 ……………………。


決まってる。何でこんな分かりきったことを聞いてくるのか。

そう訝しむ私の隣に――
突如として、制服を着たお姉ちゃんがあらわれた。


ぎょっとして二人いるお姉ちゃんの顔を交互に見比べる。

よく知っているあの頃のお姉ちゃんと、大人になったお姉ちゃん。二人に見つめられ思わず固唾を呑みこんだ。


変わっちゃてたら。その疑問が二人の視線にあてられ脳裏を駆ける。


再会していたお姉ちゃんは化粧も、香水もしていた。あの頃のお姉ちゃんじゃない。
身なりに限った話じゃない。
もし、あの頃のお姉ちゃんと大人になったお姉ちゃんの性格と嗜好――内面が全くの別人になってしまっていたら……。

そう思うと怖いし悲しい。現に当たり前な外面の変化を見て、すごく悲しくなった。


お姉ちゃん「「ねえ――なんで変わっちゃてたことが、悲しいの?」」


女「………………」


お姉ちゃんが左右から私を挟むように抱き締めてくる。
私は何も言わず、それを受け入れた。

次のお姉ちゃんの言葉を待つ。


問いの答えなんて、最初から分かっていた。ただ、触れたくなかっただけで……。


そんな私を見てお姉ちゃん二人は満足そうにニンマリ笑んで、耳元で――


お姉ちゃん「私のことが――」

お姉ちゃん「好きなんでしょ」


お姉ちゃん「再会した私じゃなくて」

お姉ちゃん「昔のもう戻らない私が」


お姉ちゃん「あの頃の私と一緒にデートしたり、恋人になってイチャイチャすることを妄想したりして」

お姉ちゃん「キスしたいとだって考えてる。ああ、そうそう私と■■■■するのを妄想して、悶々と過ごした夜もあったね」



お姉ちゃん「「ねえ女ちゃん――恋愛、という意味で私のことが好きなんでしょう」」


――だから、怖いし悲しい。



左右から甘い声。その声は私の心の奥をほじくりかえす。


そして触れられた――叶わないと知って、隠した私の想いに。


お姉ちゃんが好きだという卑しい想いに。



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