メイド「私の嫌いな貴方様」
1- 20
141: ◆TEm9zd/GaE[sage saga]
2019/03/09(土) 20:17:12.27 ID:XWj0qJN60
別れの言葉は途中で途切れた。
妨げたのは、湯の沸いたヤカンを思わせるお嬢様の叫び。

堰を切ったようなその声に、面くらい何も言うことができなかった。

お嬢様「女は素敵です。素晴らしい人です。決して馬鹿なんかじゃありません!」

お嬢様「なんでそれが分からないんですか……」

悲痛な叫び。
彼女はまっすぐ濁りのない目で私を見据える。

女「そんな人じゃないよ、私は」

純粋無垢な、日の光を思わせるその目に、私は耐えきれなくなって目を伏せた。
彼女の視線に晒されているとまるで、私の汚い部分を突きつけられているような気になった。


お嬢様「……女は、もっと周りの人を見るべきです」

女「は――?」

その言葉が逆鱗に触れた。

萎えていた心に渇が入った。
なにが、言うに事欠いて周りを見ろだ。まるで私が自分勝手みたいに言いやがって。

女「――私はね! これ以上迷惑にならないように、お姉ちゃんを諦めるの! 大体、教師と生徒なんて初めから上手くいくわけなかったんだよ! 世間のことも、お姉ちゃんのことも考えて、もう止めるの!」

お嬢様「違うんです。そういうことが言いたいんじゃないんです!」

女「だったら何? 憐れみとか同情で言ってるんだったら、もう止めてよ!!」

お嬢様「憐れみじゃないです――!」

女「だったら――」

放っておいてよ! 
そう言おうとしたが、続けることは叶わなかった。

だって、見てしまったから。
思わずぎょっとしてしまう。

それは――

お嬢様「友達だから……」

涙だった。



<<前のレス[*]次のレス[#]>>
150Res/198.34 KB
↑[8] 前[4] 次[6] 書[5] 板[3] 1-[1] l20




VIPサービス増築中!
携帯うpろだ|隙間うpろだ
Powered By VIPservice