139: ◆TEm9zd/GaE[sage saga]
2019/03/09(土) 20:15:20.03 ID:XWj0qJN60
女「……気持ち悪いよね」
やっとのことで口を開いて出た言葉はそれだった。
他になんと言えばいいのかわからなかった。卑下することでしか自分を守れなかった。
このあと、お嬢様が何て言うかは大体想像つく。
そんなことないよ、と否定はせず、けれど逃げるように今日は解散。後日、そこにはよそよそしくなったお嬢様がいるのだ。
お嬢様「き、気持ち悪くないよ」
医療器具を乗せる台車だろう。遠く、からからとタイヤの回る音が聞こえる。近づきながら空しく回るその音はドアの向こうで通りすぎた。
女「…………」
お嬢様は落ち着きが無さそうに視線をあちこちに向けている様に、何か言いたいのだと察した。
同時に抱いたのは失望。
やっぱりか、という虚ろな感傷。
――やっぱり、想像通り、思った通り。
困ったなぁ、お嬢様には嫌われたくなかったんだけどなぁ……。
そんな諦めにも似た境地の私へ、お嬢様は爆弾を投げつけた。
お嬢様「き、気持ちわるい、なんて思わないよ――だ、だってっ、わ、わた、私はっ! わたしは、女のことが好きだから」
女「……嘘だろ」
予想外のセンテンス。
そのあまりの威力に足元が吹き飛ぶような錯覚を受けた。
女「……確認するけど、友達としての好きだよね……」
お嬢様「……そういう好きもあります」
お嬢様「けど、女を誰かに取られたくない……独占したいという欲もあります。これは……きっと友情以上の気持ちです」
女「そう、なんだ……」
戸惑いは顕著に。
隠しきれないそれは挙動に出ているだろう。
お嬢様「……ごめんなさい。突然こんなこと……」
女「っ――!」
だが、こんな私でも彼女のその言葉だけは危機逃せなかった。
女「――こんなことなんて言わないでっ!」
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