メイド「私の嫌いな貴方様」
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136: ◆TEm9zd/GaE[sage saga]
2019/03/09(土) 20:09:22.39 ID:XWj0qJN60


ギャル「女ちゃん、どこの病院にいるか分かる?」


お嬢様「ぉ、女の、ところ、行って、どうするんですか……?」


ギャル「どうしようね。取り敢えず謝らないとね」


お嬢様「ど、どこにいるかは、しってます。でも……」


ギャル「でも……なに?」


お嬢様「いまの、あなたは、会わせられない」


ギャル「……だろうね」


お嬢様「わ……私は、女も、先輩も、先生も、みんな幸せに、なんて言えない」


お嬢様「女は私を助けてくれた! 私と友達になってくれた!」


助けてくれたからこそ、私も女のことを助けたい。
だって彼女は、自分で言うのも何だが箱入りの私にとって初めての友達だから。

極論その過程で誰が傷つこうが関知はしません。

それだけ女の事が大切なんです。

特別なんです。女しかいないんです。
だから、私はこの薄暗い蓋の下で女のためにのたうち回るんです。
私から離されないように、私から離れていってしまわないように。

だから、

お嬢様「だから、先輩! 女と友達になってください!」


ギャル「は?」

今だ。
理解できないとすっとんきょうな声をあげた今がチャンス。
呆けた先輩に畳み掛けます。


お嬢様「先輩は弱い自分を見せても良い相手を探してたんです!」


ギャル「突然なにいって……?」


お嬢様「疲れてたんですよ先輩は。誰かに好かれるために演技することに」

お嬢様「だから先輩は自分と同じところがあって、なおかつ自分のことを受け入れてくれる人を望んだ」

お嬢様「先輩がほしかったのは憧れの初恋でも、妥協の恋人でもない――自分のことを理解してくれる友達です!」


だからこそ先輩の学校での立ち位置を知らない人を望んだ。
弱味を見せても大丈夫。だって先輩のことを知らないから。
もしそういうところをみせてもこの人はそういう人なんだなですませられる人。

――自分に期待を持っていない人を先輩は望んだ。


いつの間にか張った糸のような緊張はたゆんでいた。
代わりにその糸は一本一本増えてこよられ太い糸に。

それは当然、女を――初めての友達を守るため。
そしてこの重苦しい蓋の下を彼女と一緒に生きるために。

不安はあります、暴力を振るわれるかもしれないと恐怖もあります。

それでも女のために。
飄々としてコミカル、愛嬌がある彼女の顔を思い出すと、自然と湧いてくる勇気。

彼女のため、そんな大義が私に力をくれる。


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