135: ◆TEm9zd/GaE[sage saga]
2019/03/09(土) 20:08:01.38 ID:XWj0qJN60
お嬢様「……」
先輩の言葉を聞いて思ったことは二つ。
一つは、もし、仮に、女が先輩のことを受け入れたら、それはそれで受け入れる――つまり、付き合ってたのではないかという疑い。
だってそうだ。
やけに女に親しげに接して、一線を越えるような冗談を言うあたり、思い人から女に乗り換えようとしたんじゃないかと思ったんです。
そして二つ目。
それは、互いに先に進まないように、つまり叔母の話――外に出ないよう互いにおさえつけあうロブスターの話をなぞっているのではないか、という疑い。
もちろん私の叔母と先輩に面識はありません。
たまたまの偶然、似たようなことになったのだと思いましたが、それでも引っ掛かりました。
誰にも教えられず、その考えにたどり着いたのなら、先輩は――
お嬢様「……先輩は、どう、なりたいんですか……?」
ギャル「……自分でも分かんなくなっちゃった」
ギャル「昔はさ、こうなりたい理想の自分っていうのが、確かにあってさ――」
ギャル「憧れもあって、羨ましくて、だから変わりたくて――」
ギャル「でも、望んだ自分になるのは難しいことだって気づいちゃったんだ」
私に向けれた言葉じゃないのは見てとれました。だって先輩の瞳は私を写していなかったんですもの。
遠くを見るような遠い視線はまるで、自分に言い聞かせているよう――自分に無理だから諦めろと言っているように見えて仕方がなかったんです。
そのとき、ああ、そうかと疑問が府に落ちました。
先輩は諦めたんだ、と。
諦めて、妥協して、だから自分より弱い女を選ぼうとしたんだ、と。
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