メイド「私の嫌いな貴方様」
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130: ◆TEm9zd/GaE[sage saga]
2019/03/09(土) 20:03:12.37 ID:XWj0qJN60

最後はお嬢様。大トリだ。ジャンプで言えばピューと吹くジャガー。もう大分前に連載終了したけどね。

時刻は夕方近い。
もう一時間もすれば面会終了時間だ。

がらがらと音をたててドアが開く。

文庫本から顔をあげ、音のした方を見やる。


そこにはドアとの隙間から覗き見るようにこちらを窺うお嬢様の姿があった。


女「どしたの、お嬢様」


お嬢様「い、いえいえ……そ、その、お気に、お気になさらずに」


女「いや、気になるから」


私は手にした文庫本をおくと、ちょいちょいと手招きした。

それを見たお嬢様は諦めたようにドアを引くと、中にはいり、私の横にある丸椅子に腰かけた。


お嬢様「ひ、ひとり……なんだね」


女「そうだね。四人部屋だけど誰もいないから貸し切り状態。親も仕事に行っちゃって、見舞いに来たのもこれで三人目。暇で暇でしょうがないね」


お嬢様「そ、なんだ……」


それきり黙ってしまう。

開いた窓から風が吹き込みカーテンを揺らす。

秒針がかちりかちりとなる音がやけに大きく感じた。


お嬢様は何も言わない。
私も何も言わない。


ときおりお嬢様はちらちらと窺うように私を見るも目が会うたびにばっと勢い良く下を向いた。
ということを先程から繰り返している。

こうもあからさまな態度をとられると嫌でも察せられてしまう。
あ、こいつ何か言いたいことがあるな、と。

しょうがない。こっちから切り出すか。

女「お嬢さ――」


お嬢様「あの――」


なんて思ったらお嬢様も同時に口を開いた。


女「なにか話したそうにしてたから話しかけただけだから、どうぞ話して」


お嬢様「う……うん、あ、あのね――ギャル先輩と、話をしたの」


お嬢様「あ、あのね、わたし、女が倒れたのは、その……先輩のせいだと思ったの」

お嬢様「だから――」

そう言ってたどたどしくも語られるお嬢様の言葉に耳を傾けた。



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