俺ガイルSS 『思いのほか壁ドンは難しい』 その他 Part2
1- 20
927:1[sage]
2022/10/11(火) 22:55:54.93 ID:Djle0+rf0

陽乃「でも、あの子たちもこれでやっと私の影から卒業できるかも知れないわね」

自分の背中を追いかけてばかりいた妹達の成長を喜ぶような、それでいて少し寂しそうな表情が掠める。

このひとくらいの才覚があるのなら、例え相手が身内であろうと、もっと穏便な方法で、良き姉としてそつなく振る舞うことだってできたはずだ。

時折雪ノ下に対して見せる、あの苛烈なまでに冷酷で、まるで突き放すような態度も、妹の自立と成長を促すための試練であり、敢えて憎まれ役を演じていたとしか思えない。

しかし、それも裏を返せば、それだけ身内に対して情が深い証左でもあるのだろう。

母のんもそうだが、何でも人並み以上にそつなく熟(こな)すクレバーな女性なくせに、どうして身内に対する愛情表現だけはこうも不器用なのだろう。
そう考えると可笑しくなると同時に、少しだけ悲しくなってしまった。

八幡「ずっと誤解されたままでいいんですか?」

陽乃「 ……… 比企谷くん、前にも言ったと思うけど、私、勘のいいガキは嫌いよ?」

まるで俺の心の動きを読んだかのように、やんわりと牽制してきたが、その目はいかにも愉し気に細められている。

あくまでも俺は部外者に過ぎない。姉妹の間に割って入ることなどできやしないし、しようとも思わない。

だが、余計なお世話と言われようが、俺としてはこの姉妹が一日でも早く本当の意味で和解できる日が来てくれることを願ってやまない。

なんせ間に挟まれた人間は堪らったもんじゃないからな。誰とは言わないが特に俺とか。


陽乃「それに、私ね」

彼女は再び俺から目を逸らし、どこか遠く、ここではない宙の彼方を見る凪のような穏やかな顔で静かに言葉を継ぐ ――――― 


陽乃「悔しくて涙目になってる雪乃ちゃんの顔が大好物なの」

八幡「 ……… そういうとこだと思いますよ?」




<<前のレス[*]次のレス[#]>>
936Res/725.48 KB
↑[8] 前[4] 次[6] 書[5] 板[3] 1-[1] l20




VIPサービス増築中!
携帯うpろだ|隙間うpろだ
Powered By VIPservice