■■「島村卯月、頑張りますっ」
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18:名無しNIPPER[sage saga]
2017/01/09(月) 00:04:14.70 ID:JSGxJH370
◇◇◇

 ちひろさんに連れられてビルを降ります。そうして連れられた地下室からは、長い地下道が伸びていました。
 最初はいかにも無理やり掘ったような道でした。何度も何度も転びそうにありながら、ちひろさんが持つライトだけ頼りに進みます。
 やがて綺麗に整った通路に出ます。薄暗いけど僅かに明かりもある。明らかな人工の通路です。
「さて、まずこの世界について教えないといけません」
 歩きながら、ちひろさんはこの世界について私に教えてくれました。
「卯月ちゃんも、自分が住んでいる町の名前は知っているよね」
「東京」
「そう……東京。でも、それはもう存在しなかったんです」
 口ぶりはどこか他人事みたいで、詰まらなそうでした。
「人間と言うのは。昔の人が考えていたよりもずっと愚かだったんですよ」
 地球種と呼ばれた人類は、かつて、地球と呼ばれる惑星に住んでいた。
 青い美しい星に抱かれ、人類は繁栄を謳歌する……それは、永遠に続くはずでした。
 莫大であった資源は無限ではなかったんです。地球種は、それに気づかずに星を食らい続けました。
 有限と知りつつ地球を食い潰し続けた人類は、気が付けば後戻りが出来ない状態へと足を踏み入れていました。
 星は、寿命を迎えていたのです。
 だけど、人は生きようとしました。
 朽ちた惑星から資源をかき集め、太陽系の外へも漕ぎ出せる船を造ると、僅かな頑固な人たちを残して星を捨てた。
「そういて、果てしない航海の末に手に入れたのが、この星です」
 そういわれても、まるでピンときません。
 もしかしたら、ちひろさんの考えた作り話かもしれない。
「だけど、ここにきて地球種はようやく気が付いたんですよ。以前のような生活を営めば、星はすぐに枯渇してしまう」
 『管理者』の元、自分たちの存在すら定義された人々だけが生きる小さな世界。
 維持が可能な段階で人類の繁殖を食い止め、小さなドームの中で持続可能な世界を造り出す。
 それが、今の世界だと言っているんです。
「さて……」
 そうしていると、ちひろさんは立ち止まりました。
「さ、御覧なさい」
 目の前の壁に向かって手をかざすと、立体パネルが出現する。読めない言葉が躍ると、思い物体を引きずる音がした。
「これが、外の世界です」
 目の前の壁――そう思っていた扉が、真っ二つに割れる。その隙間から漏れるは、ステージの光とも違う異質な光。
 まるで、『太陽の日差し』がありました。
「さあ、わかりましたよね? 偽物なのは独りだけじゃない――この世界そのものが、ハリボテ仕立てのイミテーションなんですよ」


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