17:名無しNIPPER[sage saga]
2017/01/09(月) 00:02:07.34 ID:JSGxJH370
「でも、今『島村卯月』と言う存在が失われると、社会的に大問題になる」
シンデレラガール、島村卯月。一週間の休養でさえ、大騒ぎだったとプロデューサーさんは言っていました。
もし仮に、突然引退となれば、その影響は計り知れないでしょう。
「だから、ステージに立てなくなったあの子に代わって、あなたが作られた」
無言で、ただ頷きました。
あんまりにも突拍子もない現実。でも、心当たりはありました。
どうしてもかみ合わない私の日々。それは、『島村卯月』の代わりである私が『島村卯月』の居場所に入ろうとしていたから。
どんなに精巧な複製品であっても、絶対に同じものにはならない。
まるで他人のように見えた『島村卯月』のステージも、とても『島村卯月』に及ばない私のステージも、全て一本の糸としてつながる。
「……私は、『島村卯月』の偽物……私だけが、偽物」
『島村卯月』の形をした何かが、『島村卯月』として生きていただけ。
「……そこはちょっと違うんですよね」
そんな私の独白を、ちひろさんは感情のこもらない声で遮ります。
「偽物なのは『島村卯月』だけじゃないんですよ」
そこには、諦観の念が混ざっていました。
「さて、もう一度問います、島村卯月――あなたに、この世界を見る覚悟はありますか?」
ただ、その言葉に頷いていました。
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