16:名無しNIPPER[sage saga]
2017/01/09(月) 00:01:09.36 ID:JSGxJH370
きっと、目の前に居る人が『島村卯月』であるのは本当なんでしょう。
だって、私が『島村卯月』と言うには、あまりにも不出来だから……
今日まで『島村卯月』をやっていた私は、どうしても『島村卯月』になりきれなかった。
それは、私が本物ではなかったから。
「ちひろさん、あとはお願いします」
そう言って『島村卯月』さんは立ち上がります。去り際に、ごめんねと言われた気がしました。
「……はい、卯月ちゃん」
ちひろさんがハンカチ涙をぬぐってくれました。
「ありがとうございます」
そのままハンカチを受け取ると、今度は自分で頬をぬぐいます。不思議なことに、涙はすぐにおさまっていました。
「思ったよりも、落ち着いてますね」
「な、何度も、この先に、あるのは、一番さん、酷な現実だって、言ってたから」
なんとか返事をします。でも、本当は心はまったく落ち着いてなくて、油断したらすぐに泣きだしてしまいそうです。
「もう気が付いてるとは思いますけれど。あなたもあの子も『島村卯月』なんです」
「は、い」
もう、それは分かっていました。
「正確には、『島村卯月』として作られた存在です」
「教えて、くれ、ますか?」
「簡単に言うと、前の『島村卯月』ちゃんは、アイドルとして活動できなくなったです」
事情は分かりません。でも、きっとそうなんでしょう。
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