■■「島村卯月、頑張りますっ」
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11:名無しNIPPER[sage saga]
2017/01/08(日) 23:52:42.00 ID:tTAn3URP0
◇◇◇

 夜道を一人歩いていました。
 ライブは無事に終わりました。ボロボロだけど、最低限は上手くできた……そう思っています。
 でも、違和感はなくなりません。ボタンをかけ違えたような気持ち悪さは、消えることはありません。
「プロデューサーさんも、難しい顔をしてました……」
 帰り際、プロデューサーさんは眉間に皺を寄せて、何かを考えていました。
「やっぱり、私のせいなのかな」
 今日は上手くいきました。でも、明日も上手くできる保証なんてどこにもありません。それどころか、違和感は大きくなるだけ……そんな気がします。
「お疲れ様です、卯月ちゃん」
 後ろから、声をかけられました。
「誰ですか?」
 振り返ると、黄緑色のジャケットを羽織った女性が経っていました。
「あの、あなたは――」
「私は、千川ちひろと申します。通りすがりのアシスタント……なんて、ふざけ過ぎですかね」
 いたずらっ子のように冗談めかした口調でそう言うと、ちひろさんと名乗った女性は、私の傍に立ちます。
 不思議な人です。明らかに怪しいのに、警戒心が湧いてこない。まるで、どこかで会ったような気すらします。
「あなたに、渡したいものがあります」
 そう言うと、白い便箋を私に手渡してきました。
「それはあなたが今抱いているだろう違和感への処方箋。もし真実が知りたいなら、その手紙を開けてね」
 私の覗き込んでそう言うと、ふわっと一歩後ずさります。
「あ、あの」
「きっと、それは『島村卯月』にとって一番つらい真実ですよ……それだけは、忘れないで」
 そうして、ちひろさんは夜の闇の中へと消えてゆきました。
 後に残された私の頭の中は、真っ白に染まっていました。


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