10:名無しNIPPER[sage saga]
2017/01/08(日) 23:50:38.03 ID:tTAn3URP0
「……そうか、そうだな」
すると、プロデューサーは私の前に手を差し出します。
「ほら、そんな顔をするな。誰だって調子崩す時はあるだろ……たぶん、初めてなんだろう?」
なら、もう一度やろう。プロデューサーは優しくそう言ってくれます。
「指切り、だ」
「指切り?」
「俺に出来ることだったら何でも約束する。もちろん、これが終わってからだけどな」
その時、私の中で何かが繋がりました。
ずっと前に聞いた言葉。今と同じように、前に進む勇気が湧かなかった時に行ってくれた言葉。
「なんか、思い出したんだよ。あの時も、約束だって言っただろ」
照れたように笑うプロデューサー。その顔も懐かしくて、思わず私もつられて笑っていました。
「なら、お約束も同じですよね!」
指を重ねて、私はあの時と約束を願う。
「最後まで、ステージを見ていてください」
「おう、当然だ!」
指切りげんまん、はりせんぼんのーます。
子供のように約束をして、指を離す。それを待っていたかのように、スタッフさんが私の出番を告げる。
「それじゃあ、行ってきます」
違和感はまだ残っています。でも、今日だけは、ちゃんと『島村卯月』だって言える気がしました。
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